相続時口座照会は、亡くなった方の預貯金口座を把握しきれないときに、口座探しを補うために利用できる制度です。
通帳やキャッシュカード、郵便物などを確認しても利用していた銀行が分からない場合や、ほかにも口座がないか確認したい場合に利用を検討できます。
ただし、この制度だけですべての口座や残高まで分かるわけではありません。
- ほぼ全国すべての金融機関に照会ができますが、
- 故人が生前にマイナンバーを紐づけている口座だけが対象です。
- 亡くなった方1人の照会に対し、手数料5060円がかかります。
- 照会結果が届いたら、具体的な残高などは、該当する各金融機関に確認します。
- 死後10年を経過すると利用できません。
この記事では、相続時口座照会で分かること・分からないこと、対象となる口座、申込みから結果が届くまでの流れ、照会後に必要な手続きを順に解説します。
続時口座照会は、故人の口座探しの手間を減らす仕組み
相続時口座照会は、故人がどの金融機関に預貯金口座を持っていたか分からないときに、複数の金融機関をまとめて照会できる制度です。
ただし、対象になるのは基本的に故人のマイナンバーが付番された口座で、すべての口座や残高まで分かる制度ではありません。

複数の金融機関へまとめて照会できる
相続時口座照会は、任意の金融機関で申し込み、一部対象外となる金融機関を除いて、故人のマイナンバーが付番された預貯金口座の所在をまとめて確認できます。
そのため、故人がどの銀行を利用していたか把握しきれていない場合に、金融機関ごとに個別に口座の有無を調べる手間を減らせます。
制度の対象となる金融機関や利用条件は、デジタル庁の案内で確認できます。
すべての口座や残高まで分かるわけではない
相続時口座照会で確認できるのは、基本的にマイナンバーが付番された対象口座です。
付番されていない口座や、一部手続きの対象外となる金融機関の口座は、この制度では確認できません。
また、照会結果だけで残高や取引履歴まで確認できるわけではありません。口座が見つかった後に必要な情報は、その金融機関へ別途確認します。
口座を把握しきれないときに使う
相続時口座照会は、通帳やキャッシュカードなどを確認しても、故人が利用していた口座を把握しきれないときに利用を検討できます。
まずは手元にある資料から分かる金融機関を整理し、ほかにも口座がある可能性がある場合に、相続時口座照会を組み合わせると考えると分かりやすいです。
まず通帳・キャッシュカード・郵便物などを確認する
最初に、通帳、キャッシュカード、金融機関からの郵便物など、手元に残っている資料を確認します。
そこから利用していた金融機関が分かれば、まずその銀行を把握できます。手元の資料だけで十分に確認できる場合は、必ず相続時口座照会を利用する必要はありません。

把握しきれない口座がありそうなら相続時口座照会を検討する
手元の資料を確認しても、「ほかにも利用していた銀行がありそう」「これだけで全部か分からない」という場合は、相続時口座照会を利用する方法があります。
相続時口座照会で確認できない口座もあるため、手元の資料を探す代わりではありません。
分かっている口座を整理したうえで、把握できていない可能性のある口座を探す方法の一つとして利用します。
相続時口座照会でわかること・わからないこと
照会結果では、次のような情報を確認できます。
- 金融機関名
- 支店名
- 預貯金の種類
- 口座番号
- 預貯金者名

つまり、相続時口座照会は、「故人がどの金融機関のどの口座を持っていたか」を確認するための制度です。
通知される項目については、「相続時預貯金口座照会利用規定」で確認できます。
残高や取引履歴は口座が見つかった金融機関へ確認する
相続時口座照会では、口座の残高や過去の取引履歴までは確認できません。
相続開始時点の残高を知りたい場合は残高証明書、過去の入出金を調べたい場合は取引履歴や入出金取引証明など、知りたい内容に応じて口座が見つかった金融機関へ別途依頼します。
必要書類や申込み方法、取得できる期間などは金融機関によって異なるため、対象となる金融機関の案内を確認します。
一例として、三井住友銀行では、相続に伴う残高証明書や預金入出金取引証明の発行手続きが案内されています。
相続時口座照会の対象になる口座
相続時口座照会の対象になるのは、基本的に故人のマイナンバーが付番されている預貯金口座です。
ただし、すべての金融機関が制度の対象ではありません。
マイナンバーが付番されていない口座や対象外の金融機関の口座は、この制度では確認できない可能性があります。
マイナンバーが付番された預貯金口座が対象
相続時口座照会では、故人が生前にマイナンバーを付番していた預貯金口座を照会します。
そのため、故人が口座を持っていても、原則としてマイナンバーが付番されていない場合は、照会結果に出てこない仕組みです。
このため、照会結果に口座が記載されていないからといって、故人にほかの口座がないとは限りません。

対象外となる金融機関の最新情報は、デジタル庁の「一部手続きの対象外となる金融機関」で確認できます。
故人のマイナンバーが分からなくても申し込める
相続時口座照会を申し込む際に、故人のマイナンバーそのものを提示する必要はありません。
ここで区別したいのは、「申込みに故人のマイナンバーが必要か」と「どの口座が照会対象になるか」は別の話だという点です。
故人のマイナンバーが手元で分からなくても申込みはできますが、照会対象となるのは基本的に、生前にマイナンバーが付番されていた口座です。
申込みから結果が届くまでの流れ
相続時口座照会を利用する場合は、申込み前に期限と、故人の口座の取引が止まる可能性を確認しておきます。
その後、預金保険機構から受付事務を委託されている金融機関で申し込みます。
必要書類を提出して手数料を支払うと、照会結果が後日郵送されます。申込みから結果が届くまでは1か月程度が目安です。
申込みは故人が亡くなってから10年以内
相続時口座照会は、故人が亡くなってから10年以内であれば申し込むことができます。
この10年は、相続時口座照会を利用できる期間です。相続放棄や相続税申告など、ほかの相続手続きには別の期限があるため、それぞれ分けて考えます。
申込みによって口座の取引が止まる場合がある
相続時口座照会を申し込むと、照会先の金融機関へ故人が亡くなったことが伝わります。
その結果、金融機関によっては故人名義の預貯金口座などの取引が停止される場合があります。
相続時口座照会の申込みによる取引停止については、金融機関の公式案内でも確認できます。
すべての金融機関の口座が一斉に停止されるという意味ではありません。
ただし、公共料金などの引落しや給与・返金などの入金に使われている口座に心当たりがある場合は、申込み前にその内容を把握しておくと、その後の対応を整理しやすくなります。

これは相続時口座照会の申込みを遅らせるためではなく、口座の取扱いが変わった場合に必要な対応を把握しておくためです。
預金保険機構の委託先金融機関で申し込む
申込みは、預金保険機構から受付事務を委託されている金融機関で行います。
故人や申込者が取引していない金融機関でも、委託先であれば申込みが可能です。具体的な受付方法は、利用する金融機関の案内を確認します。
なお、相続時口座照会はマイナポータルから申し込む手続きではありません。
申込みに必要な書類を準備する
申込みでは、申込者の本人確認や、故人と申込者の相続関係などを確認するための書類を提出します。
必要となるのは、たとえば相続人であることを確認するための戸籍などの資料や、申込者の本人確認書類です。
故人のマイナンバーは預金保険機構が住民基本台帳ネットワークシステムから取得するため、申込み時に故人のマイナンバーを提示する必要はありません。
具体的な必要書類は、申し込む金融機関の案内に沿って準備します。
手数料は5,060円、結果は1か月程度が目安
照会手数料は、申込み1件につき5,060円(税込)です。申込み後は、結果が「該当口座なし」などであっても、原則として手数料は返却されません。
申込みから照会結果が届くまでは、1か月程度が目安です。ただし、故人のマイナンバーの確認などに時間がかかり、さらに日数を要する場合があります。
結果は、申込書に記載した日本国内の通知先へ簡易書留で郵送されます。手数料や申込みから結果通知までの流れは、預金保険機構の案内で確認できます。
参考:預金保険機構「相続時預貯金口座照会のお申込みにあたって」(三井住友銀行掲載PDF)
照会結果が届いた後にすること
照会結果が届いたら、故人名義の口座が記載されているかを確認します。
口座が見つかった場合は、その金融機関へ連絡して残高の確認や解約・払戻しなどの相続手続きへ進みます。
一方、「該当口座なし」と通知された場合も、故人にほかの口座がないと確定するわけではありません。

口座が見つかったら、その金融機関の相続手続きへ進む
照会結果に口座が記載されていたら、対象となる金融機関へ連絡します。
相続時口座照会で分かるのは口座の所在であり、残高確認や解約・払戻しまで完了するわけではありません。
必要な手続きや書類は金融機関によって異なるため、その銀行の案内に沿って進めます。
銀行口座の相続手続きの流れや必要書類は、「亡くなった人の銀行預金を相続する方法」で詳しく説明しています。
金融機関側の手続き例は、三井住友銀行の相続手続き案内でも確認できます。
「該当口座なし」でも、ほかに口座がないとは限らない
「該当口座なし」と通知されても、故人に預貯金口座が存在しないことを証明するものではありません。
相続時口座照会の対象は、基本的に故人のマイナンバーが付番された口座です。
また、申込み時に伝えた氏名・住所・生年月日などから故人のマイナンバーを特定できない場合にも、「該当口座なし」となることがあります。
このほか、金融機関から照会期間内に回答がないなどの事情により、口座が存在していても結果通知に記載されない場合があります。
そのため、通帳や郵便物などの手掛かりが残っている金融機関があれば、照会結果だけで判断せず、その金融機関へ個別に口座の有無を確認します。
まとめ|相続時口座照会は、故人の口座探しを補う方法の一つ
相続時口座照会は、通帳や郵便物などだけでは故人の口座を把握しきれない場合に、複数の金融機関をまとめて確認できる制度です。
ただし、確認できるのは基本的にマイナンバーが付番された対象口座で、すべての口座や残高、取引履歴まで分かるわけではありません。手元の資料から分かる口座の確認と組み合わせて使います。
利用する場合は、申込みによって口座の取扱いが変わる可能性も確認したうえで、預金保険機構の委託先金融機関から申し込みます。
照会結果に口座が見つかったら、その金融機関へ連絡し、残高確認や解約・払戻しなどの相続手続きを進めます。「該当口座なし」と通知された場合も、心当たりのある金融機関が残っていれば、個別に確認します。

