2022.7.3(加筆) 行政書士 阿部 勉

上場企業

証券取引所に株式公開をしていない、非上場の会社の、株券を保有されている場合もございます。

故人がお勤めされていた企業の株券を保有されていることも多いです。

一部上場など、証券取引所に上場されている企業であれば、その株券は証券会社で保管され、
相続後は比較的簡単に換金することができますが、

上場していない企業の株式(非上場株式)の場合は、取引所がございませんので、株券を発行した会社の規定に従い、手続きを進めることになります。

 

非上場企業の自社株の取り扱い

非上場企業には、自社株の譲渡を制限しているケースが多いです。

株を保有しているものが、任意の第三者へ売却等による譲渡をおこなう場合に、
見も知らない第三者に株が渡ってしまうことを制限するために、株主総会の承認を受けることを条件にしているのです。

株式の譲渡制限といいます。

 

相続が発生した場合の取り扱い

しかし、株を保有しているものが、亡くなった場合は別です。

これは、各企業により、取り決めが異なります。

  • 亡くなったものの相続人が、新たに株主となることを認めるか、
  • もしくは相続人が株主になることを認めない、
    代わりに、保有している株券相当額の金員を、会社から相続人に支払うことで、株主の権利を買い取る

 
いずれかの対応になるケースが多いようです。

 

相続人が相続し、新たな株主となる

もっともスタンダードな相続方法は、故人の保有されていた株券をそのまま相続し、相続人が新たな株主として、その会社の株主名簿に記載してもらうことです。

継続して配当を得ることもできます。

しかし、経営が順調なうちは良いですが、業績が悪化したりすると、お持ちの株券の評価額は下がり、配当が出ないこともあります。

相続人と企業の関係性が重要になると思われます。

 

会社に買い取ってもらう

相続人が継続して株主になるご意思がなく、換金したいと考えている場合は、株券を発行した会社が買い取ってくれるケースもございます。

もしくは、そもそも会社規定により、強制的に買い取りされるケースもございます。

その場合は、会社の業績に応じた時価であったり、会社が規定している買い取り価格であったりします。

(参考)非上場株式の価格

  • 原則的評価方式
  • (1)類似業種比準方式(大会社) 類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」および「純資産価額(簿価)」の3つで比準して評価する方法
    (2)純資産価額方式(小会社) 会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法
    (3)併 用(中会社) 上記2つの評価方式を併用します。

  • 配当還元方式 その株式を所有することによって受け取る一年間の配当金額を、一定の利率(10パーセント)で還元して元本である株式の価額を評価する方法
  • 清算分配見込額 清算中の会社の株式の計算方式です

 

(参考)国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4638.htm

 
いずれにしましても、非上場の株をお持ちということは、故人はその会社と深い関係をお持ちであったとおもわれますので、双方に失礼がないよう、粛々と実務を進めることが重要かとおもいます。