遺言を書こうかと、多くの方が一度はお考えになられたことがあるのではないでしょうか。
遺産相続というのは、人が死亡した後に、その人がお持ちになられていた資産の一切を、相続人が承継する手続きのことです。
そして相続のための承継の方法は、民法に規定されており、とくに遺言書がなければ、原則として民法の規定に従って、平等に分割されることになります。
しかし、その平等というのが難しく、ある人が考える平等と、またある人が考える平等とに、いくばくかのずれが生じてしまうことがあります。
それが火種となり、遺産相続が裁判沙汰になることも他人事ではなく、皆が皆、自分の考える平等が正しいと信じて、裁判官の判断を仰きます。
ところが裁判官も神様ではありませんから、本当に公平に平等な裁きができる保証はありません。
そんな不必要なトラブルや相続人のストレスを未然に軽減させるために、遺言書が有効になります。
遺言を書こう
たとえばあなたが、これは誰に相続させると遺言書を作成すれば、その内容は絶対的な効力を持ちます。
内容に不満のあるほかの相続人は、遺言書の形式に不備がないか、遺留分を侵害していないかなど、内容以外のところで異議を申し立てることになります。
しかし、これ以上に遺言書が効果を発揮するのは、ほかの相続人の協力を得ることなく、資産を承継する相続人が自分で勝手に相続手続きができること、場合によってはその資産を承継する事実すら、ほかの相続人に伝える必要もないということです。
遺産相続のトラブルでもっとも多く、かつ深刻なのが、特定の相続人の協力を得ることができずに相続手続きがストップしてしまうということです。
銀行預金にしろご自宅など不動産にしろ、名義を亡くなった方から特定の相続人に変更しようとすると、故人の戸籍をたどり、相続する権利のある人を確定させ、かつ、その全員の実印と印鑑証明書がそろわなければ、原則として何一つ相続の手続きができません。
ところが遺言書さえあれば、遺言書の記載のとおりに手続きを実行できますので、資産を承継する相続人が自分で勝手に相続手続きができてしまう。
これは経験したものでないと実感がわきにくいですが、とてもありがたく、余計なストレスもなく、確実に相続ができる手段となります。
遺言書の種類
遺言書は何度も申し上げるとおり、絶大な効力をもつ法律文書ですから、その作成方法が厳密に規定されており、この規定にそぐわない遺言書は、どんなに故人の意志がつづられていようとも、残念ながら法律的な効力はゼロになってしまいます。
今のあなたの状況にもっとも適した遺言書を作成しましょう。
自筆証書遺言
メリット
簡単で、費用もかからず、すぐに作成できる方式です。
要件
- すべて自筆で書くこと。
- ただし、2019年1月13日以降に作成する自筆証書遺言については、財産目録としてパソコンで作成したものや通帳コピーの添付が可能です。財産目録には各項に自署押印が必要です。
- 遺言書の本文、日付、氏名、を自署し、押印すること。
- 加除訂正はトラブルの元になりますので、できれば避け、新しく作り直すほうがよいとおもいます。
問題点
1. 相続発生後に遺言書の検認が必要です。
遺言書の検認とは、相続人のひとりが、家庭裁判所に申し立て、関係相続人全員の立会いの下に、遺言書を確認するという手続きのことです。
申立があると、裁判所から全相続人に検認の期日と出席の有無の確認が取られます。申し立てた代表者以外の相続人は別に出席しなくてもかまいませんが、遺言書があるということは周知の事実となりますので、相続手続きを内密にすすめるということはできません。
検認は申し立ててから手続きが完了するまで、およそ1ヶ月くらいかかります。
なお、法務局で自筆の遺言書を保管してもらえる制度を利用する場合は、遺言書の検認が不要になります。
2. 内容に間違いがあると、遺言書が実行できなくなります。
当センターの実例ですが、自宅を遺贈すると記載があるものの、その番地表記が法務局で管理する地番と異なっていたために、登記ができないという例がございました。
住所の表示方法としては、市役所が管理する住居表示と、法務局が管理する地番と、もしくは郵便配達で通用する番地などがありますが、これらはお互いに統一管理されていません。
登記をおこなうのは法務局ですから、法務局で管理されている地番表記が遺言書には望ましいといえます。
そのほかにも、誤解をまねく表記や、あいまいな表記などは有効性が低くなってしまいますので、注意が必要です。
公正証書遺言
メリット
費用がかかりますが、もっとも確実に、あなたの資産を相続させることができます。
また、検認手続きも不要のため、ただちに相続手続きをおこなうことができますし、
資産を承継する相続人さえ遺言書の存在を知っていれば、ほかの相続人に知られることもなく、相続手続きが可能です。
保管につきましても、万一紛失したとしても公証役場で再発行できます。
要件
公証役場で作成します。
問題点
- 実印、印鑑証明書、戸籍謄本、不動産登記簿謄本など、用意するべき書類は多いです。
- 費用がかかります。
- 書き直すこともできますが、書類等をいちからそろえることになり面倒だということと、毎回費用がかかります。
- ほかの相続人にとりあえずは知られずに手続きができますが、あなたの死後、ほかの相続人が公証役場で遺言の有無を調べることができますので、そのときには内容が分かってしまいます。
公正証書遺言書作成【完全】サポート 料金表
サービス内容
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料 金
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公正証書遺言作成 完全サポート
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100,000 円~
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- 遺言内容のご相談から、具体的な文章の作成サポートをおこないます。
- 戸籍謄本、不動産登記簿謄本など、必要書類はすべてこちらでご準備します。
- 公証役場との事前調整と、立会人の調整をおこないますので、お客様はご指定日(任意のご希望日を設定できます。但し、平日の日中に限ります。)に、ご実印と印鑑証明書を持ち、公証役場へ行っていただくだけでOKです。
- ご病気等で、公証役場へ出かけることが困難なときは、公証人がご希望の場所へ出張することも可能です。(別途、公証人出張料がかかります。)