故人と同居していた相続人の一人が、相続財産である故人の銀行預金を勝手に引き出しているケースがよく問題になります。

残高を聞くとあきらかに少ない、おかしい、となるんですね。

そんなときは、金融機関に対して、入出金状況の開示を求めることが出来ます。生前から死後の現在までの、通帳のコピーのようなものを銀行が作成してくれるのです。

それを見れば一目瞭然で、誰かが故人の死後に多額のお金を引き出していたりしたらすぐに分かります。このお金は何に使ったの?と、問い詰めることが出来ます。

しかし、開示請求の対応は銀行によってバラバラで、相続人のひとりからの請求で応じてもらえる銀行もあれば、相続人全員の同意がなければ応じないという銀行もあります。

取引経緯を開示してくれなければ、不明瞭な出金を確認できません。同居以外の相続人は困ります。一方、不正な出金をした相続人は銀行に開示されると困ります。開示した銀行に対して逆ギレするかもしれません。銀行はトラブルが困るので、開示しないケースもあるのです。

ところが、銀行が開示しないことに対して裁判に訴えた事例がありまして、平成21年1月に判決が出ました。

判決は、相続人1人からの請求でも開示しなさい、というものでした。これによって、不正な出金はすべて見つけられることになります。もし銀行が応じなくても、判例があります、といえば開示するしかありません。

銀行預金の残高に不明な点があるときは、取引経緯の開示請求をすることができます。