2022.6.7 行政書士 阿部 勉

いらない土地

土地神話というものがありました。

かつて土地は値上がりするはずの財産でしたが、今では、

  • 地価は都市部などを除いて値下がり、
  • 毎年の固定資産税の負担
  • 使用しない田畑、山林など、処分することもできない

 
土地がいらないからといって、相続を放棄すると、預貯金や金融資産、自宅まで相続できなくなってしまいます。

これまでは、不要な土地であっても、誰かが相続するしかありませんでした。

 
▼こちらのページは、動画でもご覧いただけます。

 

令和5年(2023年)4月27日より、相続土地国庫帰属制度がスタートします

これからは、いらない土地を、国に引き取ってもらえるようになります。

(参考 法務省ホームページ)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html

(参考 水戸地方法務局チラシpdf)
https://houmukyoku.moj.go.jp/mito/content/001354310.pdf

 
ただし、タダ(無料)で引き取ってもらえるわけではありません。
不要土地を引き取ってもうには、様々な条件があります。

土地の引き取りにかかる費用

  • 審査手数料
  • 10年分の管理費に相当する負担金

 
詳しい金額は未定ですが、10年分の管理費については、

(参考)現状の国有地の標準的な管理費用(10年分)は、粗放的な管理で足りる原野約20万円、市街地の宅地(200㎡)約80万円 (法務省資料より)

との、法務省資料がございます。

数十万円から百万円くらい、というイメージになるのでしょうか。

引き取ってもらえる土地の条件

以下に当てはまる土地は、引き取ってもらえません。

<< 国に引き取ってもらえない土地の条件 >>

  • 建物がある土地
  • 抵当権や借地権、地役権、通行権など、他人の権利が付帯している土地
  • 土壌汚染のある土地
  • 境界が確定できない土地
  • 崖地
  • 樹木や地下埋葬物(有体物)がある土地
  • 他人と係争中の土地
  • その他管理に費用や労力がかかる土地

(参考)相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律 第2条、第5条

 
つまり、

<< 国に引き取ってもらえる土地の条件 >>

  • 更地であること
  • 他人の権利が付いていないこと
  • 他人と争いがないこと

 
上記の条件を満たせば、いらない土地を、国に引き取ってもらうことができます。
共有地であれば、共有者全員の承諾が必要です。

国には引き取る義務があります

要件を満たす土地であれば、国は、引き取りを拒否することができません。
(参考)衆議院法務委員会

たとえ今は要件に満たない土地であったとしても、いかに要件を満たすか、という対策が重要になります。

  • 建物がある土地は、解体をおこなう
  • 測量されていない土地は、測量をおこなう
  • 他人の権利が付帯している土地は、権利の抹消をおこなう
  • 埋葬物や有害物は、除去する

 
荒れ放題のまま、国に引き取ってもらうことはできません。
最低限の整地が必要になります。

相続放棄とのちがい

現在でも、相続人全員が相続を放棄すると、土地は、国庫に帰属することになっています。(民法959条

しかし、相続を放棄してしまうと、いらない土地のみではなく、自宅や預貯金、金融資産などもすべて、放棄しなくてはなりません。

特定の土地だけを放棄する、ということはできません。

今後は、任意のいらない土地だけを、国庫に帰属させることができるようになります。

 

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