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法定相続情報一覧図は作った方がいいですか?

法定相続情報一覧図は作った方がいいですか?

法定相続情報一覧図について調べると、「戸籍を何度も提出しなくて済む」「相続手続きが楽になる」といった説明を目にします。

一方、利用するには、必要な戸籍を集めて一覧図を作成し、法務局へ申し出る必要があるため、すべての人が作った方がよいとは限りません。

判断するときは、一覧図の写しを使うことで減らせる手間と、利用するまでにかかる手間を比べることがポイントです。

この記事では、法定相続情報一覧図の仕組みと、作るかどうかの判断材料を6つのケースに分けて整理します。作ると決めた場合の準備まで確認できます。

目次

法定相続情報一覧図は作った方がいい?判断するときは2つの負担を比べる

結論として、法定相続情報一覧図を作るかは、①一覧図の写しを使うことで減らせる手間と、②一覧図の写しを利用できるようにするまでにかかる手間を比べて考えると整理しやすくなります。

一覧図の写しは、相続関係を示す資料として、相続登記、預金払戻し、相続税申告などで利用できる場面があります。

必要な通数の交付を申し出られるため、複数の提出先で戸籍の束を繰り返し提出する負担を減らせます。

一方、利用するには、必要な戸籍等を集め、一覧図を作成し、法務局へ申し出る必要があります。

手続き先の数や種類だけでなく、戸籍がどこまで集まっているか、相続関係を一覧図に整理できそうかも合わせて考えます。

一覧図の写しを使うことで減らせる手間

減らせるのは、主に相続関係を証明する資料を繰り返し用意する手間です。制度の利用と一覧図の写しの交付は無料で、相続手続きに必要な通数を申し出られます。

銀行や不動産など複数の提出先があるときは、戸籍の束を一つずつ回す代わりに、一覧図の写しを各手続きで利用できる場合があります。 

ただし、一覧図の写しだけですべての相続手続きができるわけではなく、ほかに必要な書類は提出先によって異なります。

一覧図の写しを利用するまでにかかる手間

一覧図の写しを利用するまでには、大きく分けて、必要書類の収集、一覧図の作成、法務局への申出が必要です。

ここで分けて考えたいのが、相続人を確認するための戸籍収集と、一覧図を利用するために追加される作業です。

戸籍は、一覧図を作らない場合でも、ほかの相続手続きで必要になることがあります。

そのため、一覧図を利用することで追加される主な作業は、集めた戸籍をもとに一覧図を作成し、申出書と必要書類をそろえて法務局へ申し出ることです。

戸籍がすでにそろっているか、相続関係を整理しやすいかによって、追加でかかる手間の大きさは変わります。

そもそも法定相続情報一覧図の写しとは?

法定相続情報証明制度は、相続人などの申出人が戸除籍謄本等を集め、その記載に基づいて作成した「法定相続情報一覧図」を登記所へ提出し、登記官の確認を受ける制度です。

確認後は、認証文が付いた「法定相続情報一覧図の写し」の交付を受けられます。

ここで区別したいのが、自分で作成して法務局へ提出する「法定相続情報一覧図」と、その後の相続手続きで利用する「一覧図の写し」です。 

法務局が相続関係を調べて一覧図を作成してくれる制度ではありません。申出人が戸籍の記載に基づいて一覧図を作成し、登記官の確認を受けます。

制度の利用と一覧図の写しの交付は無料です。ただし、戸籍を取得するための手数料や郵送料などの実費は別にかかります。

制度の概要は、法務局の「法定相続情報証明制度について」で確認できます。

戸籍の束と何が違う?

戸籍の束は、亡くなった方と相続人との関係を確認するための元資料です。申出人は、その戸籍の記載に基づいて法定相続情報一覧図を作成し、戸籍等とともに法務局へ提出します。

登記官の確認後に交付される一覧図の写しは、戸籍の束に代えて相続関係を示す資料として利用できる場合があります。申出時に提出した戸籍謄本等は、一覧図の写しの交付時に返却されます。

そのため、法定相続情報一覧図を利用すれば、最初から戸籍を集めなくてよくなるわけではありません。まず必要な戸籍を集め、その内容をもとに一覧図を作成する必要があります。

また、一覧図の写しですべての必要書類を置き換えられるわけではありません。各手続きで必要な申請書や、その手続き固有の書類は別に必要となる場合があります。

相続手続き全体で必要になる書類は「遺産相続手続きの必要書類」で確認できます。

どんな相続手続きで使えるのか

一覧図の写しは、相続登記、亡くなった方名義の預貯金の払戻し、相続税申告など、さまざまな相続手続きで利用できる場合があります。

ただし、実際に利用できるか、一覧図の写し以外にどのような書類が必要かは手続き先によって異なります。預貯金の手続きは各金融機関、相続登記は法務局、相続税申告は国税庁などの最新案内を確認します。

相続税申告でも一覧図の写しを利用できる場合がありますが、一覧図の形式や続柄の記載などに条件があります。相続税申告で利用する場合は、国税庁の最新案内を確認してください。

ケース別|自分に近い状況から確認

次の6つから、自分に近い状況を確認してください。

  1. 手続き先が少なく、戸籍を使う場面も限られている
  2. 銀行など同じ種類の手続き先が複数ある
  3. 預貯金・相続登記など異なる相続手続きを並行したい
  4. 手続き先は多いが、戸籍収集や一覧図作成はこれから
  5. 相続人が多い、または相続関係が複雑
  6. 何の相続手続きが必要か、まだ整理できていない

たとえば「手続き先が多い」と「相続関係が複雑」の両方に当てはまる場合は、それぞれのケースを合わせて見ると、一覧図の写しによって減らせる手間と、作成にかかる手間を整理しやすくなります。

各ケースでは、次の三つに分けて確認します。

  • 減らせる手間
  • 作る手間
  • 見ておきたい点

1.手続き先が少なく、戸籍を使う場面も限られている

【減らせる手間】
戸籍を使う提出先が少なければ、同じ戸籍を何度も提出する場面も多くないため、一覧図の写しを作ることで減らせる手間は限られることがあります。

【作る手間】
必要な戸籍等を集めたうえで、一覧図を作成し、申出書等とともに法務局へ申し出る必要があります。制度の利用と一覧図の写しの交付は無料ですが、戸籍取得手数料や郵送料などは別途かかります。

【見ておきたい点】
現在わかっている提出先だけでなく、これから相続登記や相続税申告など、戸籍を使う手続きが増えないかも確認します。手続き先が少ないという理由だけで、一覧図が不要とは一律に判断できません。

2.銀行など同じ種類の手続き先が複数ある

【減らせる手間】
複数の金融機関で相続関係の証明を求められる場合は、必要な通数の一覧図の写しの交付を受けることで、同じ戸籍の束を金融機関ごとに提出する負担を減らせます。

【作る手間】
戸籍がすでにそろっていれば、追加される主な作業は一覧図の作成と法務局への申出です。

【見ておきたい点】
一覧図の写しを利用できるか、ほかにどの書類が必要かは金融機関によって異なります。銀行預金の相続手続き全体は「亡くなった人の銀行預金を相続する方法|必要書類・手続きの流れ」で確認できます。

3.預貯金・相続登記など異なる相続手続きを並行したい

【減らせる手間】
預貯金の払戻し、相続登記、相続税申告など、異なる相続手続きを進める場合は、一覧図の写しを利用できる場面が複数になることがあります。

【作る手間】
一覧図の作成と法務局への申出は一度行いますが、その後の申請や必要書類は手続きごとに別です。

【見ておきたい点】
一覧図の写しだけで、預金払戻しや相続登記、相続税申告などの手続きがすべて完了するわけではありません。利用できるか、ほかに何が必要かは各手続き先の案内を確認します。相続登記の概要は「相続登記の義務化について」で確認できます。

4.手続き先は多いが、戸籍収集や一覧図作成はこれから

【減らせる手間】
手続き先が多ければ、一覧図の写しを利用できる場面も複数になる可能性があります。

【作る手間】
戸籍がまだそろっていない場合は、まず亡くなった方の出生から死亡までの戸除籍謄本等や、必要となる相続人の戸籍等を集めます。その後、一覧図を作成して法務局へ申し出ます。

【見ておきたい点】
戸籍収集は、一覧図を作るためだけの作業ではありません。相続人を確認するために必要となり、ほかの相続手続きでも使用することがあります。

そのため、戸籍収集そのものと、一覧図の作成・法務局への申出という追加作業を分けて考えると、一覧図を作るために増える負担を把握しやすくなります。

5.相続人が多い、または相続関係が複雑

【減らせる手間】
相続人が多く、複数の提出先で相続関係を証明する必要がある場合は、一覧図の写しを必要な通数利用できることが役立ちます。

【作る手間】
相続関係が複雑でも制度を利用できますが、必要な戸籍の範囲を確認し、戸籍の記載に基づいて相続関係を一覧図へ整理する手間が増えることがあります。

法務局には代襲相続の記載例があり、再代襲が生じて一覧図が複数枚にわたる例も示されています。

【見ておきたい点】
一覧図を作るメリットが大きいかどうかと、自分で正確に作成できるかは分けて考えます。まず法定相続人の範囲や順位を整理する場合は「法定相続人は誰なのか?|法定相続人の順位」が参考になります。

6.何の相続手続きが必要か、まだ整理できていない

【減らせる手間】
必要な相続手続きがまだ分からない段階では、一覧図の写しを使える場面がいくつあるかも判断できません。

【作る手間】
まず、亡くなった方の財産や契約を確認し、どのような相続手続きが必要か整理します。そのうえで戸籍を使う提出先を洗い出すと、一覧図を作ることで減らせる手間が見えてきます。

【見ておきたい点】
まず相続手続きの全体像を把握し、その中で一覧図の写しを利用できる手続きを確認します。全体の流れは「家族が亡くなったら何から始める?」で整理できます。

作るのは大変?必要な作業は大きく3つ

法務局では、法定相続情報一覧図の写しの交付を受けるまでの流れを、大きく次の3段階で案内しています。

  1. 必要書類を集める
  2. 法定相続情報一覧図を作成する
  3. 申出書等とともに登記所へ申し出る

実際にかかる手間は、戸籍がどこまで集まっているか、相続人の数や相続関係などによって変わります。

必要書類を集める

まず、被相続人と法定相続人との関係を確認するための戸籍などを集めます。主な必要書類は次のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本など
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本
  • 申出人の氏名・住所を確認できる本人確認書類

被相続人の住民票の除票を取得できない場合は、戸籍の附票を用意します。

また、相続人の住所を一覧図に記載する場合や、代理人が申し出る場合などは、追加の書類が必要になります。相続関係によっては、被相続人の親などについて追加の戸籍が必要になる場合もあります。

一覧図を作成する

集めた戸籍の記載に基づいて、被相続人と法定相続人との関係を一覧図にまとめます。

法務局では、配偶者と子、兄弟姉妹が相続人になる場合、代襲相続がある場合など、相続関係に応じた様式と記載例を公開しています。

相続人の住所を一覧図に記載するかどうかは任意ですが、記載する場合は住民票の写しなど、住所を確認できる書類が必要です。

法務局には代襲相続の記載例があり、再代襲が生じて一覧図が複数枚にわたる例も示されています。

相続関係に合う様式は、法務局の「法定相続情報一覧図の様式・記載例」で確認できます。

法務局へ申し出る

一覧図を作成したら、申出書、必要書類、作成した一覧図をそろえて登記所へ提出します。

申出先は、次のいずれかの所在地を管轄する登記所から選べます。

  • 被相続人の死亡時の本籍地
  • 被相続人の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 被相続人名義の不動産の所在地

そのため、最寄りの法務局であればどこでも申し出られるわけではありません。

申出は相続人本人のほか、委任を受けた代理人が行うこともできます。また、申出や一覧図の写しの交付は、窓口だけでなく郵送でも可能です。

具体的な申出先や郵送方法は、法務局の「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」で確認できます。

自分でも作れる?負担が大きくなりやすいポイント

法定相続情報一覧図は、自分で作成して法務局へ申し出ることができます。

自分で進めやすいかどうかは、制度を利用できるかとは別に、必要な戸籍を集め、戸籍の記載に基づいて相続関係を一覧図へ整理できるかという点から考えます。

戸籍がすでにそろい、相続関係を整理しやすい場合は、作業の見通しを立てやすくなります。一方、相続人が多い場合や代襲相続などがある場合は、確認する戸籍や一覧図の記載が増えることがあります。

相続関係が複雑だからといって、制度を利用できないわけではありません。自分で作成する場合は、必要な戸籍の範囲や一覧図の記載を正確に整理できるかも含めて考えます。

制度を利用できないケースは別に確認

作成に手間がかかるケースと、制度そのものを利用できないケースは分けて考えます。

法務局では、被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど、必要な戸除籍謄抄本を提出できない場合は、法定相続情報証明制度を利用できないと案内しています。

相続関係が複雑であることや、一覧図を自分で作成しにくいことだけで、制度を利用できないと決まるわけではありません。利用できるか判断しにくい場合は、必要な戸除籍謄抄本を提出できるかを法務局の案内で確認します。

作ると決めたら、戸籍と公式様式を確認して準備へ進む

ここまで確認して、法定相続情報一覧図を作る方が手続きを進めやすそうであれば、次は実際の準備に進みます。

まず確認したいのは、相続関係を確認するための戸籍がどこまでそろっているかです。戸籍がそろったら、その内容に合う法務局の公式様式・記載例を確認し、一覧図を作成します。

その後、申出書や必要書類をそろえ、申出先となる登記所と提出方法を確認します。相続人の住所を一覧図に記載する場合や、代理人が申し出る場合などは、追加の書類が必要になることもあります。

一覧図は、相続関係によって記載方法や必要書類が変わるため、本記事だけを見て作成方法を一律に判断するのではなく、自分のケースに合う法務局の公式様式・記載例を確認しながら進めると整理しやすくなります。

必要な戸籍がまだそろっていない場合は戸籍収集から、すでにそろっている場合は自分の相続関係に合う一覧図の様式を探すところから始められます。

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