相続手続きでは、故人の戸籍を取るために亡くなった人の本籍・筆頭者を調べるほか、不動産に関する手続などにおいて、自分の本籍・筆頭者を確認することもあります。
亡くなった人の本籍と筆頭者が分からない場合は、請求条件を満たせば、死亡時の最後の住民登録地にある「住民票の除票」から確認することができます。
自分自身の現在の本籍・筆頭者を確認したい場合は、住民登録地で、本籍・筆頭者を記載した住民票を請求します。
この記事では、亡くなった人の最後の住所地の確認、住民票の除票の請求、死亡時の戸籍の取得までを順に説明します。
除票が取れない場合の手掛かりや、相続人を確認するために出生まで戸籍をさかのぼる流れも紹介します。
結論|亡くなった人は住民票の除票、自分は住民票を確認
亡くなった人の本籍・筆頭者を確認したい場合は、死亡時の最後の住民登録地で、本籍・筆頭者を記載した「住民票の除票」を請求するのが基本です。
自分自身の現在の本籍・筆頭者を確認したい場合は、住民登録地で「本籍・筆頭者の記載あり」の住民票を請求します。
亡くなった人と自分では、取得する証明書や請求条件が異なります。それぞれの確認方法を順に見ていきます。
亡くなった人の本籍・筆頭者を調べる場合
亡くなった人については、 死亡時の最後の住民登録地を管轄する市区町村へ、住民票の除票を請求します。
なお、生前に同じ世帯だった家族の現在の住民票を取っても、亡くなった人の情報は通常は記載されません。
死亡者の除票は、親族や生前の同一世帯員であっても無条件に取得できるものではありません。相続で戸籍を取得するために必要であることなど、請求理由や必要性の確認を求められる場合があります。
死亡した方の住民票の除票について、請求できる人や必要性の確認方法は自治体ごとに案内されています。参考例として、大阪市の公式ページでも除票の取扱いを確認できます。
自治体によっては、次のような内容や資料を求められます。
- 証明書を使う相続手続きと提出先
- 亡くなった人と請求者の関係が分かる戸籍
- 提出先から証明書を求められていることが分かる案内
- 請求者の本人確認書類
- 代理人が請求する場合の委任関係を示す書類

必要書類や郵送請求の可否は自治体によって異なります。請求前に、最後の住所地の市区町村公式ページで「死亡者の住民票の除票」「第三者請求」の案内を確認してください。
自分の本籍・筆頭者を調べる場合
自分の現在の本籍・筆頭者は、住民登録地の市区町村で住民票を請求し、本籍・筆頭者を記載するよう指定して確認します。
亡くなった人の戸籍を取得するために、手続する人自身の本籍・筆頭者が常に必要になるわけではありません。
ただし、一部の相続手続で相続人自身の戸籍が必要になる場合には、自分の本籍・筆頭者を確認することがあります。
請求方法は窓口や郵送のほか、自治体が対応していればマイナンバーカードを使ったコンビニ交付を利用できる場合があります。
参考:地方公共団体情報システム機構「コンビニ交付に関する情報|利用できる市区町村」
注意点として、全国の市区町村窓口で取得できる広域交付住民票には、本籍・筆頭者を記載できません。また、電話で本籍や筆頭者そのものを教えてもらう方法も前提にできません。
交付された証明書で、本籍の表記と筆頭者の氏名を正確に確認しましょう。
本籍・筆頭者とは|住所・世帯主との違い
本籍と筆頭者は、戸籍を特定するために使う情報です。住所や住民票の世帯主とは別のものなので、申請書へ記入するときに混同しないようにしましょう。
- 本籍
-
戸籍が置かれている場所として記録される情報です。現在住んでいる住所と同じとは限りません。
- 筆頭者
-
戸籍の最初に記載されている人です。本籍と組み合わせて、どの戸籍を請求するかを特定するために使われます。
- 世帯主
-
住民票上の世帯を代表する人です。戸籍上の筆頭者とは別の制度上の立場です。
筆頭者が亡くなっても、その戸籍の筆頭者は変わりません。そのため、「現在の世帯主だから筆頭者だろう」と推測せず、住民票や住民票の除票、戸籍などで確認しましょう。
亡くなった人の本籍・筆頭者を確認して戸籍を請求する3つの手順
亡くなった人の本籍・筆頭者を確認し、相続に必要な戸籍を請求する流れは、次の3段階です。
- 死亡時の最後の住民登録地を確認する
- 本籍・筆頭者を記載した住民票の除票を請求する
- 確認した本籍・筆頭者を使って死亡時の戸籍を請求する

住民票の除票と戸籍は、請求先も請求条件も異なります。順番に確認していきましょう。
1.亡くなった人の最後の住所地を確認する
住民票の除票は、死亡によって住民登録が消除された市区町村で管理されます。まず、亡くなった人の死亡時の最後の住民登録地を確認します。
死亡届を提出した市区町村や本籍地が、最後の住所地と同じとは限りません。
最後の住所地が分からない場合は、次のような手元資料から候補を整理します。
- 亡くなった人宛ての公的機関や金融機関からの郵便物
- 介護施設、医療機関、賃貸住宅などの契約関係書類
- 住所が記載された死亡届関係の控えや手続書類
- 家族が保管している住所録や過去の証明書
施設へ入所していた人などは、実際の生活場所と住民登録地が一致しないこともあります。複数の住所が見つかったときは、資料の日付を確認して、死亡時に最も近い住所から整理します。
2.本籍・筆頭者入りの住民票の除票を請求する
最後の住所地が分かったら、その市区町村へ住民票の除票を請求します。
申請書では「本籍・筆頭者の記載あり」を明示し、相続手続きで戸籍を請求するために必要であることを具体的に記載します。
本籍・筆頭者は原則として省略される自治体もあるため、記載指定を忘れないことが重要です。
死亡者の除票は、親族であれば無条件に取得できるものではありません。請求前に、主に次の点を確認してください。
- 自分が請求できる立場に当たるか
- 相続目的を確認するために必要な資料
- 亡くなった人との関係を示す戸籍などが必要か
- 提出先からの案内など、必要性を示す資料が必要か
- 窓口・郵送など利用できる請求方法
- 手数料、処理日数、本人確認書類
- 本籍・筆頭者を記載した除票を交付できるか
- 対象の除票が現在も保存されているか
住民票の除票の保存期間は現在150年ですが、保存期間が延長される前に廃棄された古い除票は取得できません。実際に交付できるかは請求先の市区町村へ確認してください。
3.本籍と筆頭者を確認して死亡時の戸籍を請求する
住民票の除票で本籍と筆頭者を確認できたら、証明書に記載された内容をもとに死亡時の戸籍を請求します。
通常は本籍地の市区町村へ窓口や郵送で請求します。本人・配偶者・直系尊属・直系卑属など、条件を満たす人は、本籍地以外の市区町村窓口で戸籍証明書等の広域交付を利用できる場合もあります。
広域交付は郵送や代理人による請求には対応しておらず、一部取得できない戸籍もあります。利用条件は事前に公式案内で確認してください。
参考:法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(戸籍証明書等の広域交付)」
取得した戸籍に死亡の記載があることを確認したら、相続人を確認するため、必要に応じてさらに古い戸籍へさかのぼります。
相続人を確認するときは出生から死亡までの戸籍をそろえる
相続人を確認するためには、原則として、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍をそろえます。
婚姻や転籍、戸籍の改製などによって、過去の親族関係が以前の戸籍・除籍・改製原戸籍に記録されているためです。
主な集め方としては、次の2つがあります。
- 死亡時の戸籍から一つ前の戸籍を確認し、出生まで順番に請求する
- 利用条件を満たす場合は、戸籍証明書等の広域交付を利用して、出生から死亡までの一連の戸籍を請求する

広域交付を利用すると、本籍地が複数の市区町村に変わっていても、本籍地以外の市区町村窓口で請求できる場合があります。
ただし、利用できる人や証明書の種類には制限があり、連続した戸籍の交付には時間がかかることもあります。
取得後は、出生から死亡まで戸籍のつながりに抜けがないか確認します。集めた戸籍から相続人を確認する流れは、「相続人を調査する」で解説しています。
必要となる戸籍の範囲は手続きによって異なる場合があるため、実際に提出する際は、銀行や法務局などの提出先にも確認しましょう。
戸籍以外も含め、相続手続きで準備する書類については、「遺産相続手続きの必要書類」で詳しく解説しています。
住民票の除票が取れないときの確認方法
住民票の除票を取得できないときは、まず「なぜ取得できないのか」を確認します。
古い除票がすでに廃棄されている場合のほか、請求理由や必要資料が不足している場合、死亡時の最後の住所地が分からない場合などがあります。
現在、住民票の除票の保存期間は150年ですが、保存期間が延長される前にすでに廃棄されたものは交付できません。
請求資格や資料の不足が理由であれば、必要書類を確認したうえで再度請求できる場合があります。
除票を取得できない場合は、手元にある戸籍関係書類などから本籍の候補を探し、住所地や本籍地の心当たりがある市区町村へ、利用できる証明書や請求方法を確認します。
火葬許可証や手元の戸籍から本籍の手掛かりを探す
手元に次のような書類があれば、本籍を探す手掛かりになります。
- 本籍の記載がある火葬許可証
- 以前に取得した戸籍、除籍、改製原戸籍の原本やコピー
- 過去の相続、年金、保険などの手続きで使用した戸籍関係書類

火葬許可証に本籍の記載があれば、本籍の候補を確認できます。ただし、記載内容は自治体の様式によって異なり、筆頭者まで確認できるとは限りません。
また、死亡届の記載に誤りがあった場合や、古い資料の取得後に転籍していた場合もあります。
そのため、手元資料だけで死亡時の本籍・筆頭者を確定せず、候補となる市区町村へ戸籍や除票の請求方法を確認しましょう。
最後の住所地や本籍が分からない場合は市区町村へ相談する
手元資料を確認しても最後の住所地や本籍を特定できないときは、住所または本籍の心当たりがある市区町村へ、請求方法や確認に使える資料を相談します。
任意の市区町村が全国を横断して、本籍や最後の住所地を検索してくれるという意味ではありません。
問い合わせ前に、分かる範囲で次の情報を整理します。
- 亡くなった人の氏名、生年月日、死亡日
- 本籍の候補
- 請求者との関係
- 必要としている相続手続きと提出先
- 手元にある戸籍、火葬許可証、郵便物など
相談するときは、「本籍や筆頭者を教えてほしい」と尋ねるのではなく、「この資料がある場合、どの証明書を請求できるか」「相続目的で請求するには何が必要か」を確認しましょう。
候補となる自治体が分からない場合は、手元の戸籍関係書類や過去の手続書類などをもう一度確認し、推測した本籍・筆頭者で申請するのは避けます。
筆頭者を推測だけで申請しないほうがよいケース
筆頭者は、「亡くなった人の父」「夫」「現在の世帯主」などから推測できるとは限りません。戸籍に関する手続きによって、本籍や戸籍の構成が変わることがあります。
推測した本籍・筆頭者で戸籍を請求すると、該当する戸籍を特定できず、申請のやり直しになることがあります。
特に次のような事情がある場合は、家族が覚えている本籍や筆頭者と死亡時の戸籍情報が異なることがあります。
- 婚姻や離婚をしている
- 元の戸籍から分籍している
- 養子縁組や離縁をしている
- 本籍を別の市区町村へ転籍している
- 家族が把握している戸籍情報が古い

相続で戸籍を請求するときは、家族関係から推測するのではなく、住民票の除票や戸籍などで死亡時の本籍・筆頭者を確認しましょう。
離婚・分籍・養子縁組・転籍がある場合
離婚・分籍・養子縁組・転籍などがあると、本籍や戸籍の構成が変わっていることがあります。
たとえば、分籍では本人を筆頭者とする新しい戸籍が作られ、転籍では戸籍の本籍が移ります。離婚や養子縁組についても、当時の戸籍の状態や届出内容によって、その後に記載される戸籍が異なります。
そのため、現在の氏や家族構成、以前に把握していた本籍だけから死亡時の本籍・筆頭者を判断するのは避けましょう。
相続で戸籍を請求するときは、住民票の除票や死亡時の戸籍などで確認した情報を使ってください。
まとめ|本籍・筆頭者を正確に確認して相続に必要な戸籍を取得する
亡くなった人の本籍・筆頭者を確認したい場合は 、死亡時の最後の住民登録地を確認し、本籍・筆頭者を記載した住民票の除票を請求するのが基本です。
除票で確認できた本籍・筆頭者を使って、死亡時の戸籍を請求します。
相続人を確認する必要がある場合は、手続きに応じて出生から死亡までのつながりが分かる戸籍・除籍・改製原戸籍をそろえます。
住民票の除票を取得できないときは、本籍の記載がある火葬許可証や手元の戸籍などから候補を探し、心当たりのある市区町村へ請求方法を確認しましょう。
本籍や筆頭者を家族関係から推測せず、住民票の除票や戸籍などの公的な証明書で確認してから手続きを進めることが大切です。

