ご身内が亡くなった後、国民年金の加入状況や年金の受給歴が分からず、死亡一時金を受け取れるのか迷うことがあります。
死亡一時金の対象になるかは、故人の保険料納付期間や老齢基礎年金・障害基礎年金の受給歴と、遺族の続柄・受給順位・生計関係などを確認して判断します。
資料が手元にない場合も、分かる情報から確認を始められます。
この記事では、故人と遺族それぞれの条件、ほかの年金給付との関係、支給額、請求期限・提出先・必要書類、資料がない場合の確認方法を順に説明します。
まずは分かる範囲で亡くなった方の状況を確認する
死亡一時金を受ける権利は、原則として死亡日の翌日から2年で時効になります。
まず期限を確認し、次の5点を分かる範囲で整理します。
- 故人が国民年金保険料を納めていた期間
- 故人が老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがあるか
- 請求を考えている人と故人との続柄
- 故人との同居や生活費の負担など、生計に関する状況
- ねんきん定期便・年金証書・年金手帳・基礎年金番号通知書など、手元にある資料

年金の種類や納付期間が分からない場合も、その時点で対象外と決める必要はありません。
手元にある資料をもとに、市区町村の国民年金窓口や年金事務所へ、死亡一時金について確認したいと伝えます。
受け取れる遺族の順位や生計の条件、資料がない場合の確認方法は、このあと順に説明します。
納付期間と年金受給歴を整理する
亡くなった方について確認する項目は、主に「国民年金保険料の納付期間」と「老齢基礎年金・障害基礎年金の受給歴」の2つです。
国民年金に加入していた期間と、死亡一時金の計算対象になる月数は同じとは限りません。
また、死亡時に年金を受け取っていたかだけでなく、過去に受けたことがあるかも関係します。
ねんきん定期便や基礎年金番号が分かる書類は手がかりになりますが、最終的な月数や受給歴は公的な年金記録で確認します。
死亡一時金の計算対象になる月数の数え方
基本要件は、死亡日の前日時点で、第1号被保険者として保険料を納めた月数と、対象となる免除期間を所定の方法で計算した月数の合計が36月以上あることです。
全額納付した月と一部免除期間は、次のように数えます。
| 保険料の納付状況 | 1か月につき数える月数 |
| 全額納付 | 1月 |
| 4分の1免除(4分の3納付) | 4分の3月 |
| 半額免除 | 2分の1月 |
| 4分の3免除(4分の1納付) | 4分の1月 |
免除や猶予を受けた期間には、この表だけでは判断できないものもあります。
手元の資料だけで月数を確定できない場合は、公的な年金記録をもとに年金窓口で確認します。
老齢基礎年金・障害基礎年金の受給歴を確認する
亡くなった方が老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けたことがある場合、死亡一時金は支給対象になりません。
死亡時に受給していたかだけでなく、過去の受給歴も確認の対象です。
年金証書などが手元にあれば、受けていた年金の種類を確認する手がかりになります。
書類が見つからない場合も、受給歴が分からないことを年金事務所などへ伝え、公的な記録で確認します。

死亡一時金を受け取れる遺族の条件
死亡一時金を受け取れる遺族は、民法上の法定相続人の範囲や相続順位ではなく、国民年金の死亡一時金で定められた基準によって決まります。
対象となる続柄と優先順位が定められており、亡くなった当時、その方と生計を同じくしていたことも必要です。
続柄と先順位の遺族の有無を整理したうえで、住民票などから生計関係を確認します。
住所や世帯が異なる場合は、追加の書類が必要になることがあります。
対象となる続柄と優先順位
死亡一時金の対象となる遺族は、次の順です。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹

故人と生計を同じくしていた遺族の中で、この順に受け取る人が決まります。
生計を同じくしていた順位が先の遺族がいる場合、順位が後の遺族は原則として受け取れません。
同じ順位の遺族が複数いる場合は、そのうち一人がした請求が、同順位者全員のための請求とみなされます。
請求者を決める方法や必要書類は、年金窓口で確認します。
亡くなった方と生計を同じくしていたか
対象となる続柄に当てはまるだけではなく、亡くなった当時、その方と生計を同じくしていたことが必要です。
基本書類には、生計関係を確認する世帯全員の住民票などが含まれます。
住民票上の住所や世帯が異なる場合も、それだけで対象外になるとは限りません。
生計同一関係の申立書や、生活費の負担状況などを確認できる書類、第三者による証明を求められることがあります。
別住所だった場合など、生計同一関係の申立てが必要となる場合の様式と記入例は、日本年金機構の「生計同一関係・事実婚関係に関する申立をするとき」で確認できます。
参考:日本年金機構「生計同一関係・事実婚関係に関する申立をするとき」
死亡一時金とほかの年金給付との関係
死亡一時金の対象になるかを調べる際は、ほかの年金給付との関係もあわせて整理します。
遺族基礎年金を受けられる場合は死亡一時金の支給に影響し、寡婦年金と死亡一時金の両方の要件を満たす場合は、どちらか一方を選びます。
故人が年金を受けていた場合は、未支給年金について別の手続きが必要になることがあります。
制度ごとに要件が異なるため、ここでは関係する給付を把握し、個別の受給可否や金額は年金窓口で確認します。
遺族基礎年金・遺族厚生年金との関係
遺族基礎年金の支給を受けられる遺族がいる場合、死亡一時金は原則として支給されません。
一方、故人に厚生年金の加入歴がある場合は、死亡一時金とは別に、遺族厚生年金の対象になるかを確認します。

遺族基礎年金と遺族厚生年金では対象者や受給要件が異なるため、故人の年金加入歴を窓口へ伝えます。
ただし、遺族基礎年金と死亡一時金の関係には例外があります。
子に遺族基礎年金の受給権があっても、その子と生計を同じくする父または母がいるため子への支給が停止される場合、その父または母が死亡一時金を受け取れることがあります。
死亡一時金と遺族基礎年金との支給関係や、法改正に伴う留意事項は、日本年金機構の「死亡一時金」で確認できます。
寡婦年金とはどちらか一方を選ぶ
死亡一時金と寡婦年金の両方の要件を満たす場合は、支給を受ける人がどちらか一方を選びます。両方を受け取ることはできません。
どちらを選ぶかは、受給額や受給期間によって異なります。
両制度の対象になる可能性があることを年金窓口へ伝え、それぞれの内容を確認したうえで選びます。
寡婦年金の対象者、支給される期間、年金額は、日本年金機構の「寡婦年金」で確認できます。
参考:日本年金機構「寡婦年金」
未支給年金は別に確認する
故人が年金を受けていた場合、まだ受け取っていない年金や、死亡後に振り込まれた年金のうち亡くなった月分までは、故人と生計を同じくしていた所定の遺族が未支給年金として受け取れることがあります。
未支給年金は死亡一時金とは別の手続きです。
自動的には支給されず、「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」の提出が必要です。
故人が何らかの年金を受けていた場合は、未支給年金の有無と必要書類を確認します。
故人が年金を受けていた場合に確認したい未支給年金については、こちらの記事で解説しています。
死亡一時金の金額の目安
死亡一時金の額は、死亡した月の前月までの第1号被保険者期間について、保険料を納めた月数と、一部免除を受けて残りの保険料を納めた期間を所定の割合で換算した月数の合計により決まります。
国民年金の加入期間全体を、そのまま数えるものではありません。
| 死亡一時金の計算に使う月数 | 支給額 |
| 36月以上180月未満 | 12万円 |
| 180月以上240月未満 | 14万5,000円 |
| 240月以上300月未満 | 17万円 |
| 300月以上360月未満 | 22万円 |
| 360月以上420月未満 | 27万円 |
| 420月以上 | 32万円 |
死亡した月の前月までに付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、上記の金額に一律8,500円が加算されます。
免除や追納などがあると、手元の資料だけでは計算対象となる月数を判断しにくいことがあります。
支給額はこの表だけで確定せず、日本年金機構の記録を年金窓口で確認します。
月数ごとの支給額と付加保険料による加算は、日本年金機構の「遺族年金ガイド」11ページで確認できます。
請求期限と基本の手続き
死亡一時金の請求では、最初に期限を把握し、提出先と必要書類を確認します。
手元の資料が不足していても、期限や年金記録について窓口へ問い合わせることはできます。
請求期限は死亡日の翌日から2年
死亡一時金を受ける権利は、通常、死亡日の翌日から2年を経過すると、時効により消滅します。「死亡日からおおむね2年」ではなく、翌日が起算点です。
死亡一時金の時効期間と起算日は、日本年金機構の「年金の時効」で確認できます。
ただし、失踪宣告を受けた場合は、審判が確定した日の翌日から2年以内とする取扱いがあります。
また、年金記録の訂正によって死亡一時金に必要な納付期間を満たした場合は、死亡から2年以上経過していても請求できることがあります。
通常の期限を過ぎている場合でも、これらの事情に当てはまる可能性があれば、死亡日や事情を年金事務所へ伝えます。
請求書を提出できる窓口
死亡一時金請求書は、請求者の住所地にある市区町村役場の国民年金窓口へ提出します。
近くの年金事務所または街角の年金相談センターでも案内が可能です。
納付記録や受給歴が分からない場合は、基礎年金番号が分かる書類など、手元にある資料を持参します。
受付時間や予約の要否は、利用する窓口の案内を確認します。
年金事務所や街角の年金相談センターの所在地・受付時間は、日本年金機構の「全国の相談・手続き窓口」で確認できます。
予約できる相談内容や申込方法は、「予約相談について」に掲載されています。
請求時に用意する基本書類
基本となる主な書類は次のとおりです。
- 国民年金死亡一時金請求書
- 故人の基礎年金番号通知書、年金手帳など
- 故人と請求者の続柄が分かる戸籍謄本等、または法定相続情報一覧図の写し
- 請求者の世帯全員の住民票の写し
- 故人の住民票の除票
- 請求者本人名義の受取口座が分かる通帳やキャッシュカードなど
故人の住民票の除票が、請求者の世帯全員の住民票に含まれている場合は、別に提出する必要はありません。
戸籍謄本や住民票は、原則として死亡日以後に交付されたものを用意します。
請求書にマイナンバーを記入することで、請求者が配偶者の場合の戸籍謄本や、世帯全員の住民票を省略できる場合があります。
公金受取口座を利用する場合は、通帳等の写しと金融機関の証明が不要です。
故人の基礎年金番号が分かる書類を提出できない場合は、その理由書を提出します。
理由書は基礎年金番号に関する書類を出せない理由を記載するもので、戸籍や住民票など、ほかの必要書類まで省略できるものではありません。
故人と請求者が別住所だった場合などは、生計同一関係を確認するための書類が追加されることがあります。提出前に、個別に必要となる書類を窓口へ確認します。
請求書の様式、必要書類、提出先は、日本年金機構の「死亡一時金を受けるとき」で確認できます。
資料がない・条件が分からないときの確認方法
ねんきん定期便、年金証書、年金手帳などが手元になくても、それだけで死亡一時金の対象外になるわけではありません。
見つかった資料から、分かる情報を整理します。

- ねんきん定期便がある:年金の加入期間や保険料の納付状況を確認する
- 年金証書がある:基礎年金番号と、受けていた年金の種類を確認する
- 年金振込通知書や年金額改定通知書がある:基礎年金番号や受給状況の手がかりにする
- 年金手帳または基礎年金番号通知書がある:基礎年金番号を確認する
- 国民年金保険料の納付書や領収書がある:基礎年金番号や納付状況の手がかりにする
- 何もない、書類名が分からない:故人の氏名、生年月日、死亡日、住所など、分かる情報を整理して窓口へ伝える
ねんきん定期便には、年金加入期間や国民年金保険料の納付状況などが記載されています。
ただし、手元の資料だけで死亡一時金の受給可否や計算対象月数が確定するわけではありません。最終的には日本年金機構の記録と照合します。
故人の基礎年金番号が分かる書類を提出できない場合は、理由書を添付する取扱いがあります。
資料が見つからない場合は、すべて揃うのを待たず、請求者の住所地にある市区町村の国民年金窓口、年金事務所または街角の年金相談センターへ、手元にある資料を伝えて必要な対応を確認します。
死亡一時金とあわせて確認する年金・手続き
死亡一時金について調べる際は、故人と遺族の状況に当てはまる年金や手続きもあわせて確認します。
すべてを調べる必要はなく、関係する項目から進められます。
- 遺族基礎年金を受けられる可能性がある:死亡一時金との支給関係を確認する
- 故人に厚生年金の加入歴がある:遺族厚生年金の対象になるかを確認する
- 寡婦年金の要件も満たす可能性がある:死亡一時金とどちらを受け取るか検討する
- 故人が年金を受けていた:未支給年金の手続きを確認する
- 民間の生命保険に加入していた可能性がある:死亡保険金について保険会社へ確認する
- 年金以外の手続きも整理したい:死亡届、健康保険、金融機関、保険、各種契約などを確認する
それぞれ対象者、請求期限、提出先が異なります。関係する制度の案内へ進み、個別の受給可否や金額は、年金窓口や保険会社など該当する窓口で確認します。
死亡後の手続き全体は、こちらで解説しています。

