故人の銀行口座は、通帳やカードが見つからなくても、手元の資料やスマートフォンなどから銀行名の手がかりを探して確認できることもあります。
銀行名が分かったら、その金融機関へ口座の有無を照会し、必要に応じて残高や取引履歴を調べます。
ほかにも口座がないか確認したい場合は、ネット銀行や古い口座を見直したり、相続時照会を利用したりする方法もあります。
この記事では、今分かっている状況に合わせて、必要なところから確認できるように調べ方を整理します。
まず、今の状況・知りたいことから確認する
故人の銀行口座をどこまで調べているか、または今知りたいことに合わせて、必要な項目から確認できます。
- 銀行名も分からず、これから調べ始める
→「これから調べ始める」 - 通帳・カード・郵便物などを一通り探した
→「通帳などを探したあと」 - 利用していた可能性のある銀行名が分かっている
→「心当たりの銀行があるとき」 - 口座の残高や過去の取引を知りたい
→「心当たりの銀行があるとき」 - 他に口座がないか不安がある
→「ほかに口座がないか確認したいとき 」 - 複数の金融機関に口座がないか照会できる制度を知りたい
→「相続時の口座照会制度が使えるか確認する」
ご自身に状況に近い項目を選んで、読み進めてください。
これから調べ始める
故人が利用していた銀行名がまだ分からない場合は、まず通帳やカード、郵便物、スマートフォンなど、手元で確認できるものから銀行名の手がかりを探します。
そこで見つからなければ、故人の住所や勤務先などの生活歴から、利用していた可能性のある金融機関を考えます。すべてを一度に調べる必要はありません。

銀行名が分かったものから記録し、順番に確認していけば十分です。
通帳・カード・郵便物から銀行の手がかりを探す
まず、通帳、キャッシュカード、銀行から届いた郵便物などが残っていないか確認します。
利息や残高の通知、ローンや振込に関する書類などから銀行名や支店名が分かることもあります。見つかった場合は、分かる範囲で次の情報を控えておきます。
- 銀行名
- 支店名・支店番号
- 口座番号
- 記載されている氏名・住所
- 手がかりになった書類
通帳やカードが見つかっても、現在もその口座が残っているとは限りません。この段階では、問い合わせる金融機関を見つけることが目的です。
スマホやパソコンに残る手がかりを探す
紙の通帳が見つからない場合は、スマートフォンやパソコンも手がかりになります。
銀行アプリの名称、銀行からのメールや通知、ブラウザのブックマークなどから、利用していた金融機関が分かることがあります。

紙の資料が見つかっている場合も、ネット銀行など別の口座を探す手がかりになります。
ここでは金融機関名を把握する範囲にとどめ、故人のパスワードを推測してログインしたり、送金などの操作をしたりすることは避けます。
手がかりが少ない場合は生活歴から候補を探す
通帳や端末から銀行名が分からない場合は、故人の生活歴から利用していた可能性のある金融機関を考えます。
たとえば、次のような情報が手がかりになります。
- 現在・過去の住所
- 勤務先や事業をしていた地域
- 給与や年金を受け取っていた時期
- 住宅ローンを利用していた可能性
- 転勤や転居などで長く暮らした地域
周辺の銀行へ順番に問い合わせるのではなく、故人との接点がありそうな金融機関を絞るために使います。
銀行名が分かったら、その時点で「心当たりの銀行があるとき」へ進み、口座の有無を確認します。
通帳などを探したあと
通帳・キャッシュカード・郵便物などを一通り探したら、見つかった情報を簡単に整理します。
銀行名が分かったものから金融機関への確認へ進み、まだ分からないものは「未確認」として残しておけば大丈夫です。
あとから別の郵便物や書類が見つかったときに、残しておいた情報と照らし合わせることもできます。
見つかった銀行と手がかりを一覧にする
見つかった情報は、銀行ごとに簡単にまとめます。細かい管理表を作る必要はありません。
たとえば、次のような項目があれば、どこまで調べたか分からなくなるのを防ぎやすくなります。
| 銀行名・候補 | 分かる支店・口座番号 | 手がかり | 確認状況 |
| ○○銀行 | ○○支店・口座番号など | 通帳・郵便物・アプリなど | 未照会・照会済みなど |
旧姓や旧住所など、金融機関へ伝えた方がよさそうな情報がある場合は、あわせて控えておきます。
金融機関へ問い合わせた後は、照会した日や結果も同じ一覧へ追記すると、家族で確認するときにも分かりやすくなります。
銀行名が分かったものから、その銀行へ確認する
通帳、キャッシュカード、郵便物、アプリなどから銀行名が分かった場合は、その金融機関への確認へ進みます。
支店名や口座番号まで分からなくても、金融機関によっては故人名義の口座の有無を調べられる場合があります。
まずは銀行名と、分かる範囲の支店名・口座番号・氏名・住所などを整理し、その金融機関の相続窓口で照会方法を確認します。

具体的な進め方は、次の「心当たりの銀行があるとき」で説明します。
銀行名が分からないものは「未確認」として残す
郵便物やメモなどが見つかっても、それだけではどの銀行を利用していたのか分からないことがあります。
その場合は、無理に銀行名を推測する必要はありません。手がかりになった書類や記載内容を残し、一覧では「未確認」としておきます。
まずは銀行名が分かっているものの確認を進め、あとから別の資料や情報が見つかったときに改めて見直します。
心当たりの銀行があるとき
利用していた可能性のある銀行名が分かったら、その金融機関へ故人名義の口座があるか照会します。
支店名や口座番号まで分からなくても、金融機関によっては口座の有無を調べられる場合があります。
口座が見つかった後は、必要に応じて残高証明書や取引履歴などを取得します。
銀行へ故人名義の口座があるか照会する
銀行名が分かったら、その金融機関の相続窓口へ、故人名義の口座があるか照会します。
金融機関によっては、支店名や口座番号が分からなくても調べることができます。
問い合わせる際は、「口座番号は分からないが、故人名義の口座があるか確認したい」と伝えると、必要な手続きや書類の案内を受けやすくなります。
たとえば、みずほ銀行では、口座番号が分かる資料を用意できない場合の取扱いも案内しています。
参考:みずほ銀行「被相続人の口座の有無や残高などを教えてもらえますか」
また、ゆうちょ銀行では、故人名義の貯金の有無を調べる手続きを「現存調査」と案内しています。
参考:ゆうちょ銀行「現存調査」
照会できる人や必要書類は金融機関や手続きによって異なります。
一般には、故人の死亡や請求する人との相続関係を確認できる戸籍書類、本人確認書類などを求められることがあります。
この段階ですべての相続手続き用書類をそろえる必要はありません。まず何を照会したいのかを伝え、その金融機関から案内された書類を準備します。
口座が見つかったら残高や取引履歴を調べる
故人名義の口座があると分かったら、次は必要な情報に応じて資料を取得します。
| 知りたいこと | 主に利用する資料 |
| 一定時点の預金額 | 残高証明書 |
| 過去の入出金 | 取引履歴・入出金取引証明など |
たとえば、相続開始時点の預金額を知りたいだけであれば残高証明書、死亡前後の入出金まで調べたい場合は取引履歴などが候補になります。
今知りたいことを金融機関へ伝え、それに合う資料を案内してもらいます。発行できる期間や手数料、必要書類などは金融機関によって異なります。
一例として、三井住友銀行では、残高証明書や預金入出金取引証明の発行手続きについて案内しています。
把握している銀行以外にも口座がないか気になる場合は、次の「ほかに口座がないか確認したいとき」へ進みます。
ほかに口座がないか確認したいとき
心当たりの銀行への確認を進めても、「ほかにも口座があるのでは」と気になることがあります。
その場合は、相続時照会を利用できるか確認する方法と、ネット銀行や古い口座など、見落としやすい手がかりをもう一度見る方法があります。
どれか一つの方法で故人のすべての口座が分かるわけではありません。すでに確認した銀行を一から調べ直す必要はなく、まだ確認していないところを補う形で進めます。
相続時照会を利用できるか確認する
故人にほかの預貯金口座がないか確認したい場合は、条件に当てはまれば「相続時照会」を利用できます。
2025年4月1日から制度が拡充され、被相続人が生前にマイナンバーを付番していた預貯金口座について、相続人が口座のある金融機関を照会できるようになりました。

ただし、この制度で確認できるのはマイナンバーが付番された対象口座です。一部対象外の金融機関もあり、口座の残高までは分かりません。
申込みには、本人確認書類や相続人であることを確認できる書類などが必要で、手数料がかかります。被相続人のマイナンバーそのものは必要ありません。
照会結果に金融機関が記載されていた場合は、その金融機関へ改めて問い合わせ、故人名義の口座や残高などを確認します。
相続時照会だけですべての口座を探すのではなく、これまでの調査を補う方法の一つとして利用できます。
ネット銀行や古い口座の手がかりを見直す
紙の通帳や郵便物を中心に探した場合は、ネット銀行や以前使っていた口座が候補から漏れていないか見直します。
たとえば、次のようなものが手がかりになります。
- スマートフォンやパソコンにある銀行アプリ
- 銀行から届いたメールや通知
- キャッシュカード・デビットカード
- 旧姓や旧住所が記載された書類
- 以前の勤務先や居住地に関係する銀行
- 古い通帳や郵便物に記載された金融機関名

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ネット銀行については、故人のパスワードを推測してログインしたり、取引操作をしたりせず、利用していた金融機関を把握する範囲にとどめます。
また、古い金融機関名が見つかった場合は、合併や名称変更によって現在どの金融機関が引き継いでいるかを公式情報で確認します。
長期間利用していない口座も、古いという理由だけで候補から外す必要はありません。
新しい銀行名が見つかったら、これまで作った一覧へ追加し、「心当たりの銀行があるとき」の方法で口座の有無を確認します。
故人名義の口座を確認できた後は、金融機関ごとに解約や払戻しなどの相続手続きを進めます。
必要書類や手続きの流れは、「亡くなった人の銀行預金を相続する方法」で詳しく説明しています。
まとめ|故人の銀行口座は、分かっているところから順に調べる
故人の銀行口座は、最初からすべてを把握していなくても調べ始められます。
銀行名が分からない場合は、通帳やカード、郵便物、スマートフォンなどから手がかりを探します。
銀行名が分かったら、その金融機関へ故人名義の口座があるか照会し、口座が見つかった後に必要に応じて残高や取引履歴を調べます。
ほかにも口座がないか気になる場合は、ネット銀行や古い口座の手がかりを見直したり、条件に合えば相続時照会を利用したりする方法もあります。
一度にすべての口座を探し切る必要はありません。
分かった銀行から確認を進め、まだ分からないものは「未確認」として残しておき、必要になったときに改めて見直すという進め方でも整理できます。

