2021.2.27 行政書士 阿部 勉
現在、さまざまな事業者様が、遺産相続手続きの代行をおこなっています。
ここでは、各事業者様の一般的な費用について、説明します。
必ず必要になる実費
どこに依頼しても、ご自身で進めても、必ず必要になるのが、遺産相続手続きにかかる実費です。まずはこちらを確認してください。
戸籍謄本、住民票、印鑑証明書、固定資産評価証明書、等 | 除籍謄本1通750円など、枚数が重なると結構な費用になります。 出生までの戸籍、各相続人の現在戸籍は、提出機関から還付を受けられることが多いので、1通ずつでも問題ありません。 印鑑証明書は、還付を受けられないこともありますので、3通くらい取得します。 |
残高証明書、取引明細書 | 死亡日現在の残高を確認するために、お取引のあった金融機関で、残高証明書を発行してもらいます。 通帳を紛失したときなどは、取引明細書を発行してもらうことで、過去数年分の入出金履歴を確認することができます。 |
登記事項証明書、地積測量図、建物図面、等 | 相続不動産の詳細を確認するために、現在の登記内容を確認します。 |
登録免許税 | 不動産評価額の0.4%が、名義変更にかかる税金として必要になります。 |
未払いの税金、公共料金、等 | 死亡後に支払い請求が届いたり、生前に未納であったりした税金や公共料金、クレジットカード代金などは、相続人に支払い義務がありますので、支払いをしなくてはなりません。 |
送料、交通費等 | 各機関に手続きするためにかかる郵送料、移動のための交通費など |
不動産相続登記にかかる司法書士費用
故人が不動産を所有しているときは、相続人に名義変更します。
法務局へ行けば、担当の方が詳しく教えてくれますので、ご自身で書類を作成して、手続きを進めることも可能ですが、
かなりの専門知識や、準備する書類がありますので、司法書士さんに依頼されるのが一般的です。
※他人の依頼を受けて登記をおこなうことは、司法書士にしかできません。
ご自宅の相続登記 | 10〜15 万円 |
5万円くらいから対応してもらえる事務所もあるようです。 料金には、戸籍収集、遺産分割協議書作成などの費用を含む場合と、別途必要になる場合とがあります。 登録免許税などの実費は別途必要です。 |
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抵当権の抹消登記 | 1〜3 万円 |
団信の適用で住宅ローンがなくなるときや、完済した住宅ローンの抵当権だけが残っているときは、 これを抹消する手続きをおこないます。 |
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田畑、山林、ビル、集合住宅などの相続登記 | 不動産のボリューム、件数などにより、 個別見積もりとなる場合が多いです。 |
相続税の申告にかかる税理士費用
故人の遺産総額が、相続税の基礎控除額を超えるときは、相続税の申告が必要になります。
税務署へ行けば、担当の方が詳しく教えてくれますので、ご自身で書類を作成して、手続きを進めることも可能ですが、
かなりの専門知識や、準備する書類がありますので、税理士さんに依頼されるのが一般的です。
※他人の依頼を受けて税務申告をおこなうことは、税理士にしかできません。
相続税申告費用 | 20万円~ |
故人が残された遺産の総額や、計算の複雑さ、相続人の数、申告期限までの日数などにより上下します。 1億円以上のご資産を残されている場合は、 税理士費用が100万円を超えることもあります。 遺産総額の1〜2%くらいが目安です。 亡くなってから10ヶ月以内の申告が必要になります。 |
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準確定申告費用 | 3〜10万円 |
毎年の確定申告や、 生前に売却した不動産があるときなどは、 亡くなってから4ヶ月以内の申告が必要になります。 |
相続税はかかるのか?~遺産相続にかかる税金と確定申告について
遺族年金の申請にかかる社会保険労務士の費用
遺族年金の申請 | 3〜5万円 |
亡くなった方が厚生年金を受給されていたときに、 残された配偶者などが遺族年金を受給できる場合があります。 国民年金の遺族年金は、 18歳未満の子がいるときに、 受給できる場合があります。 |
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未支給年金の申請 | 3〜5万円 |
亡くなられた方が、本来受給するはずであった年金を、 ご遺族の方が代わりに受給できる場合があります。 |
銀行手続きにかかる行政書士、司法書士の費用
銀行口座の解約 | 3〜10万円 |
1口座、または、1金融機関あたりの費用。 料金には、戸籍収集、遺産分割協議書作成などの、 費用を含む場合と、別途必要になる場合とがあります。 |
遺産相続すべて代行にかかる行政書士、司法書士の費用
銀行解約、不動産名義変更などすべて | 20万円~ |
何を、どのように、どこまで対応するかによって、各事業所により料金が異なります。 信託銀行なども、以前は一律で最低料金が100万円〜などでしたが、 近年は顧客ニーズにあわせ、対応を簡素化することで、価格を下げている機関もあります。 |
信託銀行などに依頼したときの、銀行の費用
遺産整理業務 | 110万円~ |
遺産総額に応じ、費用が加算されます。 最低価格を110万円としている金融機関が多いですが、 近年は、非対面かつ手続き数を制限することで、 低価格を実施している金融機関もあります。 |
遺産相続すべてを弁護士さんに依頼したときの、弁護士の費用
相談料 | 無料〜30分5,000円 | |||
事件の経済的な利益の額 | 費用 | |||
報酬金 | 300万円以下の場合 | 経済的利益の 8% | ||
300万円を超え、 3,000万円以下の場合 | 10%+18 万円 | |||
3,000万円を超え、 3億円以下の場合 | 6%+138 万円 | |||
3億円を超える場合 | 4%+738 万円 |
上記は、かつて日本弁護士連合会が定めていた報酬基準で、平成16年に廃止されましたが、
今も多くの事務所さまが、上記基準を参考にされています。
別途、着手金が必要になることが一般的です。