あらゆる遺産相続の手続きには、各ご相続人の印鑑証明書が、必須になります。
なぜ、実印を押印し、印鑑証明書は何に使われるのでしょうか。
遺産相続とは、書類で事実関係を証明していく作業
日本はハンコ文化ともいいますが、その最たるものが、実印と印鑑証明書です。
住民登録がされている市区町村に対して、特定の印鑑を実印として登録することで、その方の住所氏名と印影が、役所より証明書として発行されます。
今や100円ショップでも簡単に印鑑が手に入りますので、ある書類に署名と押印がなされていても、本当にその印鑑が、押印した本人のものであるかどうか、確かめようがありません。
そこで、この印影は間違いなく本人のものであると、公的機関に証明してもらう手段として、印鑑登録の制度がございます。
書類に実印を押印し、印鑑証明書を添付することで、本人の印鑑に間違いないことを証明します。
本人しか所持していないはずの実印を押印し、印鑑証明書を添付することで、本人の意思であることを証明する
遺産相続の各手続き機関では、提出された書類が本当に本人の意思に沿っているかどうかを確認する必要があります。
ところが、その全員と面談をするわけにもいかないですし、電話での確認にも限界があります。
そこで、本人の意思である証明として、実印の押印と、印鑑証明書の添付を求めることになります。
遺産相続手続きに印鑑証明書が必要だと言われても、印鑑証明書は大事なものだから簡単には渡せない、というご意見もございますが、上述のとおり、書類でご本人の意思証明をしていただかなくてはなりません。
逆に言えば、本人しか所持していないはずの実印が押印され、印鑑証明書まで添付されていれば、それが実は本人の意思ではなかったとしても、不備のない書類として、取り扱われることになります。
実印と印鑑証明書の意義をご理解いただき、何に気を付けなければいけないのかを、各人がご留意いただくことが、大切かと思います。
印鑑カードがあれば、だれでも印鑑証明書が取得できる
印鑑証明書は、市区役所の窓口で発行されるのが基本です。今は、マイナンバーカードがあればコンビニで発行できる自治体も増えてきましたね。
ご本人が体調が良くないなどの理由で、窓口へ行けないといった場合もございますが、このときは、代わりに窓口へ行くことができるご親族の方などに、ご本人の印鑑登録カードを預けることで、代わりに印鑑証明書を取得してもらうことができます。
委任状も不要のケースが多いです。
だれかに取得をお願いするときは、きちんと信頼ができる方にご依頼されるよう、ご留意いただけたらと思います。