ご身内を亡くした後も、故人宛ての郵便物や荷物が届き続けることがあります。
請求書や契約に関する通知、広告などが混ざって届くと、何から対応すればよいかお迷いになる方もいらっしゃいます。
まずは手元に届いたものを分け、支払いや手続きの期限があるもの、費用が続いているものから確認します。
この記事では、郵便物や荷物の優先順位の付け方、郵便局・配送会社と発送元への連絡手順、送付停止や契約の解約を依頼するときの伝え方を説明します。
受取拒否・返送と契約解約の違い、契約内容が分からない場合の確認方法も整理しています。
故人宛ての郵便物・荷物は全部を一度に止めなくてよい
死亡後のさまざまな手続きを進めるなかで、故人宛ての郵便物や荷物もすべて一度に止めようとすると、負担を感じることもあるでしょう。
まずは手元に届いているものを確認し、期限が近いものや、費用が発生しているものから対応すれば、一度に取り組む作業を減らせます。
先に確認したいのは、請求書、支払期限や更新期限のある通知、手続きが必要な公的通知などです。
定期購入など、今後も商品が届いて請求が続く可能性のあるものについても、早めに契約先へ連絡が必要です。
一方、費用や手続きの期限がないと確認できた広告DM・無料カタログは、急ぐものへの対応後で構いません。

判断できないものは捨てずに保管し、差出人へ内容を確かめてから、送付停止などの対応を選びます。
配送会社と発送元の役割を分けて対応する
故人宛ての郵便物や荷物への対応は、「届いたものを受け取らずに返したい」「今後の送付を止めたい」「契約を解約したい」など、希望する内容によって異なります。
契約を続けたい場合は、家族などへ引き継げるかを確認することも必要です。まずは何をしたいかを整理し、次の表を目安に連絡先を選んでください。
| 確認したいこと | 主な連絡先 |
| 配達中の荷物の扱い、受取拒否や返送の方法 | 郵便局・配送会社 |
| 今後の郵便物や商品の発送を止める方法 | 差出人・発送元 |
| 契約の解約・引継ぎ、請求や返金 | 契約先 |
配送会社への連絡だけでは、発送元での送付停止や契約の解約まで済むとは限りません。届いているものの扱いと、今後の発送・契約について、それぞれの窓口へ確認します。
日本郵便では故人宛ての郵便物を家族へ転送できない
日本郵便では、家族から申し出ても、亡くなった本人宛ての郵便物等を家族へ転送することはできません。公式案内では、差出人へ返還するとされています。
故人宛ての郵便物が届き続けている場合は、郵便局へ死亡したことを伝え、今後の取扱いを尋ねてください。
郵便局での返還と、発送元での送付停止は別の対応です。送付を止めたいものは発送元にも連絡し、相続手続きに必要な通知や書類については、遺族への送付方法を相談します。

参考:日本郵便「死亡した受取人あての郵便物等を家族に転送してもらえますか?」
宅配便は配送会社・発送元ごとに確認する
宅配便は、送り状や不在票で配送会社名と送り状番号を確認します。受取前か受取後かによって対応が異なるため、現在の状況を伝えることが大切です。
日本郵便以外が配達したメール便や荷物には、日本郵便の受取拒絶の方法をそのまま使えません。配送物に表示された会社へ、受取拒否や返送の方法を尋ねます。
各社の窓口と具体的な確認事項は、後段の「「宅配便は受取前後の状況に応じて連絡する 」で説明します。
受取拒否・返送と契約解約は分けて確認する
商品を受け取らなかったり返送したりしても、それだけで定期購入などの契約が解約されるわけではありません。
国民生活センターも、返品や受取拒否だけでは定期購入の解約にならないと案内しています。
契約を終えたい場合は、契約先へ死亡したことを伝え、解約方法と申出期限を確認しましょう。次回の発送、最終請求、返品・返金の扱いも、あわせて聞いておくと対応を整理しやすくなります。
参考:国民生活センター「定期購入『返品』だけでは解約になりません」
届いた郵便物・荷物を3つに分けて整理する
届いた郵便物や荷物は、次の3つに分けると、先に対応するものを選びやすくなります。
| 分類 | 対応の目安 |
| 請求や手続きの期限があるもの、費用が続いているもの | 期限と内容を先に確認する |
| 内容や必要な手続きが分からないもの | 保管し、差出人へ問い合わせる |
| 費用や手続きの期限がない広告DM・無料カタログ | 急ぐものへの対応後に送付停止を依頼する |
内容が分からなくても、期限が書かれているものは先に差出人へ問い合わせてください。判断できないものを、不要な広告と決めて捨てないことも大切です。
請求・手続きの期限や継続する費用を先に確認する
最初に確認するのは、請求書、支払期限や更新期限のある通知、手続きが必要な公的通知などです。
定期購入など、今後も商品が届き、請求が続く可能性のあるものも優先して扱います。
書類に記載されている範囲で、次の情報を控えておくと、問い合わせがスムーズになります。
- 差出人と契約番号・顧客番号
- 請求額と支払期限
- 更新日や解約を申し出る期限
- 次回の発送日

請求内容や期限が分からない場合は、差出人・契約先の公式窓口へ尋ねます。定期購入の解約では、申出期限に加え、解約時に費用がかかるかも確認してください。
内容が分からないものは保管して差出人へ確認する
何の契約や手続きに関するものか分からない郵便物は、封筒や同封書類をまとめて保管します。
差出人名、顧客番号、連絡先などは、故人の契約先や手続き先を調べる手がかりです。
開封してよいか判断に迷う場合は、まず封筒の外側から分かる情報を控えます。開封に関する注意点は、後段の「判断しにくいときは内容に応じて確認先を選ぶ 」で説明します。
問い合わせた後は、連絡日、回答、次に必要な対応を記録してください。必要な手続きとの関係が分かるまでは、書類を残しておくと後から確認しやすくなります。
広告DM・無料カタログの送付停止は後から対応できる
請求や契約更新、必要な手続きの案内ではなく、広告だけと確認できたDM・無料カタログは、急ぐものへの対応後で構いません。
繰り返し届くものは、発送元と送付物の名前を控えておけば、後からまとめて送付停止を依頼できます。
届く頻度が高いものなど、負担に感じるものから順に対応しましょう。
相続手続き全体の期限と優先順位は、こちらで紹介しています。
【遺産相続の期限】焦らなくて大丈夫!本当に急ぐべき手続きと後回しでいいものの見分け方
配送会社・発送元への連絡手順を確認する
まずは、届いた郵便物や荷物、不在票などから、配送会社と発送元を確認します。荷物に送り状番号がある場合は、その番号と、すでに受け取っているかも控えてください。
すべての配送会社へ先に連絡する必要はありません。今届いているものから連絡先を特定し、各社の案内に沿って進めます。
日本郵便へ返還・受取拒絶の方法を確認する
故人宛ての郵便物が届いていおり返還したい場合は、郵便局へ死亡したことを伝え方法を尋ねます。
その際、宛名、差出人、未開封かどうかを伝えると、状況を説明しやすくなります。日本郵便が案内する一般的な受取拒絶の方法は、次のとおりです。
- 「受取拒絶」と書き、拒絶する人の署名または押印をしたメモ・付せんを郵便物に貼る
- 配達担当者へ渡す、郵便窓口へ持参する、または郵便ポストへ投函する
ただし、この方法は開封後には利用できません。また、日本郵便以外が配達したものは対象外です。
公式FAQは迷惑な郵便物への対応を説明しているため、故人宛ての郵便物については、未開封のまま郵便局へ適切な方法を確認してください。
参考:日本郵便「架空請求、いたずら等、迷惑な郵便物を届けてほしくないのですが、どうすればいいのでしょうか?」
宅配便は受取前後の状況に応じて連絡する
宅配便については、不在票や送り状を手元に置き、故人宛ての荷物であること、送り状番号、届け先住所、受取前か受取後かを伝えます。
たとえばヤマト運輸では、荷物の状況によって次のように窓口が分かれます。
| 荷物の状況 | 連絡先・対応 |
| 出荷前で、伝票番号が未登録 | 発送元へキャンセルを依頼する |
| 伝票番号が登録され、まだ受け取っていない | ヤマト運輸の公式案内にあるお問い合わせフォームから依頼する |
| すでに受け取っている | 発送元へ返品の可否と方法を相談する |

受取後の荷物は、ヤマト運輸の判断で回収・返品することはできません。発送元の案内を受けてから返送方法を決めます。
参考:ヤマト運輸「荷物を受け取り拒否(配達中止・キャンセル)できますか?」
佐川急便では、受取拒否を希望する場合、届け先住所と送り状番号を用意して営業所へ連絡するよう案内しています。
故人宛てであることと現在の状況を伝え、対応方法を確認してください。
参考:佐川急便「よくあるご質問」内「荷物の受け取りを拒否したいです。」
返品・返金や定期配送の停止、契約の解約については、配送会社への連絡とは別に発送元・契約先での手続きが必要です。
繰り返し届く郵送物は発送元へ停止を依頼する
同じ発送元から郵便物が届き続ける場合は、宛名、住所、送付物の名前、顧客番号などを手元に用意し、発送元の公式窓口へ送付停止を依頼します。
連絡時には、故人宛ての送付を止めたいことを伝え、停止が反映される時期も聞いておくと、その後の状況を確認しやすくなります。
連絡日、窓口、回答は記録に残してください。停止を依頼した後も届く場合は、前回の連絡内容を伝え、手続きの状況を尋ねます。
有料契約に関係するものは、郵送だけを止めて終わらせず、契約を解約するか引き継ぐか、請求が残っているかも確認が必要です。具体的な伝え方は、次の章で説明します。
発送元・契約先へ連絡するときの確認項目と伝え方
発送元や契約先へ連絡する前に、故人の氏名・住所、届いた郵便物や荷物、分かれば契約番号や請求情報を手元に用意します。
連絡する人と故人との関係、送付停止・解約・契約の引継ぎなど、希望する対応も整理しておくと説明しやすくなります。
契約番号や必要書類がそろっていなくても、まずは分かる情報で問い合わせて構いません。
事業者が案内する電話や問い合わせフォームなどを利用し、必要な情報・書類と提出方法を確かめてから手続きを進めてください。
公式サイトで連絡窓口と手続きの条件を確認する
会社名に「契約者死亡」「死亡 解約」「承継」などを組み合わせると、死亡時の手続き案内を探しやすくなります。「承継」とは、故人の契約を家族などが引き継ぐことです。
検索結果から公式サイトを開き、故人が利用していたサービス名やプラン名に合う案内かを確かめます。主な確認項目は、次のとおりです。
- 連絡窓口と受付方法
- 解約・契約の引継ぎの手順
- 次回の請求日・発送日と、手続きの申出期限
- 残代金や違約金などの費用
- 手続きできる人、必要書類、提出方法

通信販売では、広告に記載された解約条件や申出期限、違約金なども手がかりになります。表示内容については、消費者庁「通信販売広告について」でも確認できます。
死亡時の案内が見つからない場合は、公式窓口へ状況を伝え、必要な手続きを尋ねてください。
死亡を伝えて解約・契約の引継ぎを相談する
連絡時には、自分の氏名と故人との関係を伝えます。例えば、次のように相談すると、必要な事項をまとめて聞けます。
「契約者の○○が亡くなりました。私は○○の△△です。契約の解約について相談したいので、手続きできる人、必要書類、提出方法、今後の請求・発送について教えてください」
契約を引き継ぎたい場合は、その希望を伝え、引継ぎの可否と条件を確認してください。
例えば、NTTドコモでは、死亡時の解約手続きと承継手続きが分かれており、それぞれ必要書類が案内されています。
利用している事業者の案内に沿って準備することが大切です。
同じ会社でも、サービスによって解約先が異なる場合があります。毎日新聞の解約に関する公式FAQでは、デジタルの「宅配購読者向けプラン」を解約しても、紙の新聞の宅配購読は終了しないと説明されています。
参考:毎日新聞「利用しているプランを解約したいのですが、どうすればいいですか。」
これは通常の解約案内ですが、停止したい契約名と窓口を確認する際の参考になります。
契約番号や契約内容が分からない場合
契約番号やログイン情報が分からないときは、故人の氏名・住所、届いた書類、差出人名、請求元、請求日などを手がかりに、会社へ問い合わせます。
「故人○○宛てに、この書類が届きました。契約の有無や内容が分からないため、遺族から確認するには、どの情報や書類が必要か教えてください」
情報が足りない場合は、追加で必要なものや、確認・手続きできる人の条件を尋ねてください。
国民生活センターの案内でも、会社へ直接解約を申し入れる方法が説明されています。
参考:国民生活センター「故人のサブスク契約のID・パスワードが不明な場合、解約する方法は?」
必要書類は事業者へ確認し、案内された方法で提出します。
請求元や契約先そのものが分からず、問い合わせ先を特定できない場合は、消費生活センターなどへ相談する方法もあります。
判断しにくいときは内容に応じて確認先を選ぶ
発送元や契約先に問い合わせても解約・請求の問題が解決しない場合は、消費生活センターなどへ相談できます。
一方、支払い義務や相続人間の権限など、個別事情に応じた法律判断が必要な場合の確認先は、弁護士です。
届いた書類とこれまでの連絡記録をまとめ、何が分からないのかを整理しておくと、事情を説明しやすくなります。
解約・請求の問題は消費生活センターへ相談する
解約を受け付けてもらえない、解約後も請求が続く、説明された条件と契約内容が違うといった場合は、消費者ホットライン188を利用できます。
参考:消費者ホットライン188
電話をかけると、身近な消費生活センターや消費生活相談窓口につながります。
相談時には、手元にある次の資料を用意してください。
- 契約書や利用規約
- 広告・申込画面の記録
- 届いた郵便物や請求明細
- 発送元・契約先へ連絡した日時、方法、相手の回答

資料がそろっていない場合も、分かる範囲で状況を伝えて構いません。支払期限や次回発送日が迫っているときは、その日付も最初に伝えると、急いで確認したい点が明確になります。
開封・支払い義務などの法律判断は弁護士へ確認する
故人宛ての封書を開けてよいかについて相続人間で意見が分かれている場合や、請求された費用を誰が負担するか分からない場合などは、弁護士へ事情を伝えて確認します。
開封について迷う場合は、封筒の外側から分かる宛名・差出人を控え、開封する目的や故人との関係も整理してください。
支払い義務や契約手続きについては、契約資料、請求明細、相続関係が分かる資料、これまでの回答が判断の手がかりになります。
法律相談の窓口が分からないときは、法テラスの「相談窓口・法制度」で案内を受ける方法もあります。
まとめ|故人宛ての郵便物は急ぐものから順に対応する
故人宛ての郵便物や荷物は、すべてを一度に止めようとせず、請求や手続きの期限があるもの、費用が続いているものから確認します。
内容が分からないものは保管し、広告だけと確認できたDM・無料カタログの送付停止は、急ぐものへの対応後で構いません。
受取拒否や返送の方法は郵便局・配送会社へ、今後の送付停止や契約の解約・引継ぎは発送元・契約先へ確認してください。荷物を返すことと、契約を終えることは別の対応です。
問い合わせには、届いた書類と分かる範囲の契約情報を用意します。連絡日、相手の回答、必要な手続き、期限を残しておくと、対応済みのものと次にすることを把握しやすくなります。
まずは手元に届いているものを分け、期限と連絡先を確かめるところから始めてください。一つずつ対応を記録すれば、繰り返し届く郵便物や荷物も整理しやすくなります。

