死亡診断書は、死亡届と一体になっているため、市区町村へ提出した後は原則として手元に戻りません。
そのため、死亡届を提出した後に「死亡診断書のコピーを取っていなかった」と気づき、再発行しなければならないのか迷うことがあります。
また、手元にコピーがあっても、「原本でなければ使えないのでは」と再発行を考えることもあります。
ただし、死亡後の手続きでは、死亡診断書のコピーや別の書類で対応できる場合もあり、必ずしも再発行が必要とは限りません。
そのため、再発行を依頼する前に、まず提出先へ必要な書類を確認します。
この記事では、死亡診断書を再発行する前に確認したいこと、提出先や病院への問い合わせ方法、再発行せずに進められる手続きの例、実際に再発行する場合の必要書類や費用などを解説します。
死亡診断書は再発行できる?まず知っておきたい基本
死亡診断書は、発行した病院・診療所へ再発行を相談できます。
申請できる人や必要書類、費用などは医療機関によって異なります。自治体の案内例として、川崎市では死亡診断書の再発行については医療機関へ問い合わせるよう案内しています。
ただし、死亡診断書が手元にないからといって、必ず再発行が必要になるわけではありません。
コピーを取り忘れた場合も、すぐ再発行するとは限らない
死亡届を提出した後に、死亡診断書のコピーを取っていなかったことに気づいても、すぐに病院へ再発行を依頼する必要があるとは限りません。
手続きによっては、死亡診断書以外の書類で死亡の事実を確認できる場合があります。
そのため、まず書類の提出先へ必要な書類を確認し、死亡診断書の再発行が必要だと分かった場合に、発行した病院・診療所へ問い合わせます。

再発行を依頼する前に、提出先へ確認したい3つのこと
死亡診断書が必要と思っていても、手続きによってはコピーや別の書類で対応できる場合があります。
たとえば、遺族厚生年金では、市区町村へ提出した死亡診断書・死体検案書等のコピーまたは死亡届の記載事項証明書が案内されています。
そのため、費用をかけて再発行する前に、提出先へ次の3点を確認します。
- 死亡診断書のコピーでよいか(手元にある場合)
- 死亡診断書以外の書類で手続きできるか
- 指定様式や原本・写し、発行日の条件があるか
死亡診断書のコピーでもよいか
原本は手元に残らないため、相続手続きでは主に死亡診断書のコピーを利用します。たとえば、遺族厚生年金では、市区町村へ提出した死亡診断書・死体検案書等のコピーが必要書類として案内されています。
手元にコピーがある場合は、再発行を依頼する前に、そのコピーで手続きできるかを提出先へ確認します。
死亡診断書以外の書類で手続きできるか
手続きによっては、死亡届記載事項証明書や戸籍、住民票の除票など、死亡診断書以外の書類が認められている場合があります。
ただし、死亡届記載事項証明書は、必要であれば誰でも取得できる書類ではありません。
大阪法務局では、一定の利害関係人が「特別な事由」を示す場合に限って請求できると案内しており、遺族年金の請求などが例として挙げられています。

2024年3月1日以降に提出された届書については、請求窓口もそれ以前とは異なります。
参考:大阪法務局「戸籍届書の記載事項証明書の交付請求について」
そのため、「コピーがないので死亡診断書を再発行する代わりに死亡届記載事項証明書を取ればよい」と先に判断せず、まず提出先へ利用できる書類を確認します。
指定様式や原本・写し、発行日の条件があるか
提出先によっては、指定された様式や原本・写しの条件があるほか、書類によっては発行日に条件が設けられていることがあります。
病院へ再発行を依頼する前に、提出先へ次の点を確認します。
- 指定様式があるか
- 原本と写しのどちらが必要か
- 発行日に条件があるか
- 提出した書類は返却されるか
指定様式がある場合は、その用紙に死亡診断書を作成してもらえるかも発行元の医療機関へ確認します。
提出先・病院・役所への問い合わせ文例
問い合わせる内容は、提出先や医療機関、死亡届を提出した時期などによって異なります。
以下の文例は、そのまま使用するための定型文ではなく、確認する内容を整理するための一例です。
分かる範囲の情報を伝え、実際に必要な事項は問い合わせ先の案内に従います。
提出先に確認するとき
死亡診断書を再発行する前に、まず提出先へ、手元のコピーや別の書類で手続きできるかを確認します。

「[手続き名]のため、[故人の氏名]の死亡を確認する書類について伺いたいです。
手元には[○○の書類]があります。
この書類で手続きできますか。利用できない場合は、ほかに提出できる書類がありますか。
あわせて、指定様式の有無、原本・写しの指定、発行日などの条件、提出した書類が返却されるかも教えてください。」
案内を受けた日、担当部署、回答内容を控えておくと、その後に病院や役所へ問い合わせる際に説明しやすくなります。
病院に再発行を相談するとき
提出先から死亡診断書の再発行が必要だと案内されたら、発行元の病院・診療所へ申請方法を問い合わせます。
医療機関によっては、亡くなった方の診断書を親族が申し込む際に、申込者の本人確認書類や故人との関係を確認できる戸籍謄本などを求めています。
申請できる人や必要書類は医療機関によって異なるため、申込者の立場を伝えたうえで、必要な手続きについて案内を受けます。

「[故人の氏名・生年月日・死亡日]について、以前作成された死亡診断書の再発行を希望しています。再発行は可能ですか。
申請できる人、故人との関係を確認する書類、費用と支払方法、作成日数、郵送での申込み・受取りができるかを教えてください。
提出先指定の様式がある場合、その用紙への記入にも対応できますか。」
郵送での申込みや受取りに対応しているかどうかも医療機関によって異なるため、遠方の場合は、郵送での申込み・受取りができるかもあわせて尋ねます。
役所・法務局に代替証明を相談するとき
提出先から死亡届の記載内容を証明する書類を案内された場合は、必要な書類名と利用目的を伝えて問い合わせます。
前述のとおり、死亡届の記載内容を証明する書類には請求条件があり、死亡届を提出した時期によって請求先も異なります。

「[手続き名・利用目的]のため、[死亡届の記載内容を証明する書類名]が必要と案内されました。
亡くなったのは[故人の氏名・死亡日]で、私は[故人との関係]です。
死亡届は[分かれば提出年月日・提出した市区町村]に提出しています。
[分かれば当時の本籍・筆頭者]もお伝えできます。請求先、請求できる人、必要書類、手数料、窓口・郵送などの請求方法を教えてください。」
提出先から案内された書類名と利用目的を伝え、実際の請求先へ確認します。
コピーや別の書類で手続きできる例
次は、2026年9月時点の公式案内で確認できる例です。
死亡診断書のコピーを利用できる手続きのほか、別の死亡確認書類を利用できる場合や、条件を満たせば届出自体が不要になる場合もあります。
ただし、ここに挙げるのは一例です。契約内容や申請する人の状況などによって必要書類が変わるため、実際には提出先の最新案内を確認します。
| 手続き | 公式案内で確認できる取扱い | 確認先 |
| 遺族厚生年金 | 市区町村長へ提出した死亡診断書・死体検案書等のコピー、または死亡届の記載事項証明書を提出する | 日本年金機構「遺族厚生年金を受けられるとき」 |
| 年金受給権者死亡届 | 日本年金機構に亡くなった方のマイナンバーが収録されている場合は、原則として死亡届の提出は不要。ただし、未支給年金などは別途手続きが必要 | 日本年金機構「年金受給者が亡くなりました。何か手続きは必要ですか。」 |
| 民間の死亡保険金請求 | 日本生命では、死亡保険金請求の必要書類として死亡診断書または死体検案書のコピーを案内している | 日本生命「死亡保険金のご請求」 |
| 協会けんぽの埋葬料(費) | 事業主の死亡証明を受けられない場合や任意継続被保険者等が亡くなった場合は、死亡診断書等のコピー、埋葬・火葬許可証のコピー、戸籍、住民票などのいずれかを死亡確認書類として提出する | 協会けんぽ「健康保険埋葬料(費)支給申請書」 |
死亡診断書の再発行が必要な場合の手続き
提出先へ確認し、死亡診断書の再発行が必要だと分かったら、死亡診断書を発行した病院・診療所へ連絡します。
申請できる人、必要書類、料金、作成日数、郵送での申込み・受取りができるかなどは、医療機関によって異なります。
まず発行元へ連絡し、自分のケースで必要な手続きを確認してから申請します。
発行元に連絡できない場合や再発行が難しいと案内された場合は、提出先にもその状況を伝え、ほかに利用できる書類がないか確認します。
依頼先と申請できる人
死亡診断書の再発行については、まず死亡診断書を発行した病院・診療所へ問い合わせます。
誰が申し込めるか、代理人による申請ができるか、どの書類が必要かは医療機関によって異なります。
医療機関の案内例として、大阪南医療センターでは、患者が亡くなっている場合、親族からの申込みには申込者と亡くなった方との関係を確認できる戸籍謄本などを求めています。
親族以外が申し込む場合は、親族との関係を確認する書類に加えて、その親族による委任も必要としています。
参考:大阪南医療センター「診断書・各種証明書の発行について」
そのため、家族や相続人であれば必ず申請できると判断せず、申込者の立場を伝え、本人確認書類、故人との関係を確認する書類、委任状などが必要かを確認します。

必要書類・費用・日数・郵送対応
再発行を依頼する前に、主に次の点を発行元へ確認します。
- 申込書や本人確認書類
- 故人との関係を確認する戸籍など
- 委任状が必要になる場合
- 再発行の料金と支払方法
- 作成にかかる日数
- 郵送での申込み・受取りができるか
- 提出先指定の様式に記入してもらえるか
- 窓口で受け取る際に必要なもの

これらの取扱いは医療機関によって異なります。
大阪南医療センターでは、診断書等の作成には受付からおおむね2週間程度かかり、書類や担当医によって期間が異なると案内しています。また、郵送による申込みは取り扱っていません。
一方、舞鶴医療センターでは、診断書等について郵送での申込み・受取りを案内しており、患者が亡くなっている場合には戸籍謄本のコピーなどを必要書類としています。
費用についても一律ではありません。一例として済生会熊本病院では、2026年2月以降、死亡診断書・死体検案書の再発行を1通6,600円と案内しています。
死亡診断書の再発行に関するQ&A
最後に、死亡診断書と死体検案書の違いや、コピーの取扱いについてよくある疑問を整理します。
死亡診断書と死体検案書の違いは?
死亡診断書と死体検案書は、いずれも死亡を医学的・法律的に証明する書類です。
厚生労働省では、医師が生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合は死亡診断書、それ以外の場合は死体検案書を交付するとしています。
どちらを交付するかは死亡の状況に応じて医師が判断するため、遺族が選ぶものではありません。
また、死体検案書が交付されたからといって、必ず事件や事故による死亡というわけではありません。
死亡診断書と死体検案書の違いは、厚生労働省の案内でも確認できます。
死亡診断書のコピーをさらにコピーしても使える?
実務では、手元にある死亡診断書のコピーを必要に応じて再コピーし、相続手続きなどに使用することがあります。
その際は、氏名、死亡日時、死因、医師の記載など、書類の文字や内容がはっきり読み取れる状態かを確認します。
端が切れている、文字が薄い・つぶれているなど、内容を確認しにくいコピーは避けます。
死亡診断書のコピーは何枚必要?
全国共通の決まった枚数はありません。
当センターでは、死亡届を提出する前に4~5枚を目安にコピーし、そのうち文字がはっきり読める1枚を控えとして残す方法をおすすめしています。
死亡診断書のコピーが必要になる手続きや枚数は、保険、年金などによって異なります。ただし、死亡届を提出する前にすべての提出先へ問い合わせて、必要枚数を確定させる必要はありません。
まず数枚と読みやすい控え1枚を用意し、実際に手続きを始めるときに、死亡診断書が必要か、コピーでよいか、提出後に返却されるかを確認します。
まとめ|死亡診断書は再発行する前に提出先へ確認する
死亡診断書のコピーが手元にない場合でも、すぐに再発行を依頼する必要があるとは限りません。
まず、書類を提出する相手へ、ほかの書類を利用できるか、指定様式や原本の条件があるかを確認します。
そのうえで死亡診断書の再発行が必要だと分かった場合は、発行した病院・診療所へ連絡し、申請できる人、必要書類、料金、作成日数、郵送対応などを確認して手続きを進めます。
相続手続き全体の流れや進める順番は、こちらで説明しています。

