市区町村の国民健康保険に加入していた方が亡くなった後は、資格喪失の届出や書類の返却、保険料の精算などの確認が必要です。
この記事では、国民健康保険の資格・保険料に関する手続きに加え、葬祭費の申請や、生前の医療費について受け取れる給付が残っていないかの確認も取り上げます。
故人が世帯主だった場合の世帯主変更や、同じ世帯に残る国保加入者に関する確認事項も含みます。
必要な手続きは、自治体やご家族の状況によって異なるため、すべての方に同じ対応が必要なわけではありません。
まずは一覧で該当する項目を確認し、故人の住所地の市区町村の案内に沿って進めてください。
国民健康保険の加入者が亡くなった後に確認する手続き一覧
家族が亡くなったあとの健康保険手続きは、まず故人がどの制度に加入していたかを確認します。
市区町村の国民健康保険に加入していた場合も、すべての方に同じ手続きが必要になるわけではありません。
世帯構成や保険料の納付状況、生前の医療費などによって、必要な手続きが変わります。
故人が国民健康保険に加入していたか確認
本記事では、市区町村の国民健康保険に加入していた方が亡くなった後の手続きを扱います。
資格確認書、国民健康保険料・国民健康保険税の通知書などから、国民健康保険に加入していたか確認します。
会社の健康保険、後期高齢者医療制度、共済組合、国民健康保険組合だった場合は、手続き先や給付制度が異なります。
市区町村の国保に加入していたことが確認できたら、まず資格や保険料に関する手続きと、あわせて確認したい給付・家族の手続きを見ていきます。
国保の資格・保険料に関する手続き
| 確認する項目 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 資格喪失・書類の返却 | 死亡による国保の届出が必要か、資格確認書など返却するものがあるか |
| 保険料の精算 | 再計算後に支払う分が残っているか、納め過ぎによる還付があるか |
あわせて確認したい給付・家族の手続き
| 確認する項目 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 葬祭費 | 葬祭を行った方が申請できるか、申請期限・支給額・必要書類は何か |
| 生前の医療費に関する給付 | 高額療養費・療養費などに、未申請・未支給の分が残っていないか |
| 故人が世帯主だった場合の手続き | 世帯主変更届が必要か、同じ世帯に残る国保加入者の書類や通知に変更があるか |
世帯主変更届は、住民票に関する手続きです。国保の資格喪失とは別に、届出が必要かを確認してください。

自治体によっては、死亡届の情報をもとに国保の資格喪失が処理され、別途届出が不要な場合があります。ただし、資格確認書などの返却や葬祭費の申請、保険料の精算まで終わるとは限りません。
必要な手続きは自治体やご家族の状況によって異なります。
市区町村へ連絡する際は、死亡後の国保手続きをまとめて確認したい旨を伝えると、必要な手続きを確認しやすくなります。
※国民健康保険の負担金は、自治体によって「国民健康保険料」または「国民健康保険税」と呼ばれます。本記事では、読みやすさを考慮して「保険料」と表記します。
資格喪失手続きと返却するもの
国民健康保険(以下「国保」)に加入していた方が亡くなると、国保の資格は死亡日の翌日に喪失します。
ただし、死亡届とは別に国保の届出が必要かどうかは自治体によって異なります。あわせて、資格確認書など返却するものがあるかも確認します。
届出が必要な場合の期限・窓口・手続き方法
死亡による国保の資格喪失について、14日以内の届出を案内している自治体があります。一方、死亡届を提出していれば、国保への届出は不要としている自治体もあります。
例えば、枚方市では、死亡から14日以内の届出を案内しています。一方、大阪市では、死亡届の提出後は国保への届出は不要ですが、資格確認書の返却などが必要とされています。
別途届出が必要な場合は、期限、届出先、誰が手続きできるかを故人の住所地自治体で確認します。代理人による手続きや、郵送・オンラインに対応しているかも自治体によって異なります。
まず自治体の死亡後手続きページなどで、国保の届出が必要かを確認しましょう。
資格確認書など返却するものを確認する
故人に交付されていた資格確認書、高齢受給者証、限度額適用認定証などが手元にある場合は、返却が必要か自治体へ確認します。旧保険証などが残っている場合も、自治体の案内に従います。
なお、マイナ保険証として利用していたマイナンバーカードは、資格確認書とは別のものです。
資格確認書やそのほかの国保関係書類については、自治体の案内に沿って返却の要否を確認してください。
資格確認書がない・期限を過ぎた・窓口へ行けない場合
資格確認書が見つからない、案内された期限を過ぎている、遠方で窓口へ行けないといった場合も、まず故人の住所地自治体へ連絡します。
資格確認書が見つからない場合にどうすればよいか、代理人や郵送などで手続きできるかは、自治体や手続きの種類によって異なります。
連絡するときは、故人の氏名・住所・生年月日・死亡日など、分かる範囲の情報を伝えると確認しやすくなります。
期限を過ぎた場合も、それだけで手続きができなくなるとは限らないため、現在必要な対応を自治体へ確認しましょう。
亡くなった方が世帯主だった場合に追加で確認すること
故人が世帯主だった場合は、大きく分けて次の2つを確認します。
1つは、住民票の世帯主変更届が必要かどうかです。もう1つは、同じ世帯に国保加入者が残る場合に、その家族の資格確認書や保険料の通知などに変更がないかです。
それぞれ別の手続きとして考えると分かりやすいでしょう。
世帯主変更届が必要になるケース
住民票上の世帯主が亡くなり、新しい世帯主を決める必要がある場合は、世帯主変更届を提出します。
たとえば、夫が世帯主で、死亡後に妻と15歳以上の子が同じ世帯に残る場合などです。
一方、故人のほかに残る世帯員が1人だけの場合は、その人が新しい世帯主となるため、世帯主変更届は原則不要です。
世帯主変更届が必要な場合は、世帯主が変わった日から14日以内に届け出ます。

同じ世帯に加入者が残る場合は書類や通知も確認する
故人が世帯主だった場合でも、同じ世帯に残る家族の国保資格まで失われるわけではありません。
ただし、世帯主が変わることで、残る家族の資格確認書や、国民健康保険料の通知書・納付書などに変更が必要になる場合があります。
故人が世帯主で、同じ世帯に国保加入者が残る場合は、資格確認書や保険料の通知に変更がないか確認します。
故人が世帯主で同じ世帯に国保加入者が残る場合は、「世帯主変更届が必要か」と「残る家族の国保関係の書類や通知に変更があるか」を分けて整理します。
葬祭費を申請する
市区町村の国民健康保険の被保険者が亡くなり、葬祭を行った場合、申請により葬祭費が支給されることがあります。
申請者の確認方法、支給額、必要書類は自治体によって異なります。
葬祭費は、資格喪失手続きとは別の申請です。自動的に振り込まれる給付ではないため、故人の住所地自治体の公式ページで、申請先・期限・書類を確認しましょう。
申請できる人・期限・支給額を確認する
葬祭費を申請できるのは、原則として故人の葬祭を行った方です。申請の際は、葬儀の領収書など、葬祭を行ったことが分かる書類を求められることがあります。
申請期限は、一般に葬祭を行った日の翌日から2年です。死亡日の翌日から2年ではない点に注意してください。

支給額は自治体によって異なるため、故人が加入していた市区町村の葬祭費の案内で確認します。
申請先と必要書類
葬祭費の申請先は、故人が加入していた市区町村の国保窓口が基本です。必要書類は自治体によって異なりますが、 主な準備候補には次のものがあります。
・申請者の本人確認書類
・振込先口座が分かるもの
・葬祭を行ったことや申請者が分かる書類
・自治体所定の申請書
代理申請の場合は、委任関係書類申請前に故人の住所地自治体の公式ページで必要書類を確認しておくとスムーズです。
前の健康保険から埋葬料等を受けられる場合がある
故人が国保に加入する前まで会社の健康保険に本人として加入していた場合は、前の健康保険から埋葬料・埋葬費を受けられることがあります。
たとえば、会社の健康保険の資格を失ってから3か月以内に亡くなった場合は、一定の条件で以前の健康保険から埋葬料等が支給されます。
資格喪失後に埋葬料・埋葬費を受けられる条件例は、協会けんぽの公式案内で確認できます。
参考:協会けんぽ「埋葬料・埋葬費」の「資格喪失後の支給について」
以前の健康保険から埋葬料等が支給される場合は、国保の葬祭費と重ねて受け取ることはできません。
退職後などに国保へ切り替えて間もなく亡くなった場合は、前に加入していた健康保険の給付対象になるか確認します。
国民健康保険料と未支給の給付を精算する
国保加入者が亡くなると、加入期間に応じて国民健康保険料が再計算されます。
その結果、まだ支払う保険料が残る場合もあれば、納め過ぎた分が還付される場合もあります。また、生前の受診について、高額療養費などの給付が残っていることもあります。
死亡後の受取方法は自治体によって異なるため、保険料の変更通知や還付案内などとあわせて確認します。
保険料の再計算・未納・還付を確認する
死亡によって国保の資格を喪失すると、保険料は加入していた期間に応じて再計算されます。
原則として死亡した月の前月分までが対象となり、月末に亡くなった場合は死亡した月の分までかかります。

再計算の結果、死亡後に納付書が届くこともあれば、すでに納めた保険料の一部が還付されることもあります。そのため、死亡後に届く変更通知や還付案内の内容を確認します。
死亡後の保険料の計算期間や変更通知については、自治体の案内例として、尾道市の案内でも確認できます。
参考:尾道市「おくやみ手続ハンドブック」13ページ「保険料に関する手続」
高額療養費など未支給の給付を確認する
故人の生前の受診について、高額療養費や、医療費をいったん全額自己負担した場合の療養費などの給付が申請前・支給前のまま残っている場合があります。
例えば、金沢市では、受領申立書を提出し、相続人の口座で受け取る方法を案内しています。
参考:金沢市「死亡した親族(75歳未満)の高額療養費の手続きはどのようにすればよいですか。」
必要書類や受取方法は、故人が加入していた市区町村へ確認してください。
相続人代表者の届出を求められる場合がある
保険料の納付・還付や通知書の受領先を定めるため、自治体から相続人代表者の届出を求められる場合があります。
届出後は、保険料の変更通知、納付書、還付に関する書類などが代表者へ送られることがあります。
この相続人代表者は、自治体の国保手続き上の連絡・受領先です。遺産分割について相続人全員を代理する人になったり、相続財産の権利を取得したりする制度ではありません。
国民健康保険以外に加入していた場合は加入先へ連絡する
手元の書類を確認し、市区町村の国民健康保険ではなかった場合は、故人が加入していた健康保険の窓口へ連絡します。
健康保険の種類によって、死亡後の手続き先や返却する書類、受けられる給付が異なります。
主な連絡先は次のとおりです。
・後期高齢者医療制度:市区町村の担当窓口または後期高齢者医療広域連合
・会社の健康保険:勤務先または加入していた健康保険
・共済組合:勤務先または共済組合
・国民健康保険組合:加入していた国保組合

加入していた制度が分からない場合は、資格確認書や保険料の通知書などで確認します。市町村国保と国民健康保険組合では問い合わせ先も異なります。
後期高齢者医療制度は市区町村または広域連合へ確認する
後期高齢者医療制度には、原則として75歳以上の方が加入します。また、65歳以上75歳未満でも、一定の障害について認定を受けて加入している場合があります。
故人が後期高齢者医療制度に加入していた場合は、故人の住所地の市区町村窓口または後期高齢者医療広域連合へ連絡します。
資格確認書の返却や葬祭費などは、後期高齢者医療制度の案内に沿って手続きを進めます。
会社の健康保険・共済・国民健康保険組合は勤務先や保険者へ連絡する
故人が会社の健康保険に本人として加入していた場合、資格喪失の届出は原則として勤務先が行います。遺族は勤務先へ死亡を伝え、資格確認書などの返却や、被扶養者だった家族の今後の健康保険について確認します。
あわせて、埋葬料・埋葬費を申請できる場合があるため、加入していた健康保険の案内を確認します。協会けんぽでも、被保険者が死亡した場合の埋葬料・埋葬費を案内しています。
共済組合や国民健康保険組合に加入していた場合は、勤務先や加入していた組合へ連絡します。
市区町村へ連絡する前に準備しておくもの
市区町村へ問い合わせたり窓口で手続きしたりする際は、次のものを手元に準備しておくと確認しやすくなります。
必要なものは手続きや自治体によって異なるため、すべてが必須というわけではありません。
・故人の氏名、住所、生年月日、死亡日
・資格確認書や資格情報のお知らせなど、国保への加入が分かるもの
・手続きする方の本人確認書類
・葬祭費を申請する場合は、葬祭を行ったことが分かる領収書など
・振込先の口座情報
・代理人が手続きする場合は、委任状など
・保険料の通知書や納付書、還付に関する書類

資格確認書が見つからないなど、手元にそろっていないものがあっても、まずは故人の住所地自治体に必要な手続きを確認できます。
まとめ|死亡後の国民健康保険手続きは加入先と自治体の案内を確認する
故人が国民健康保険に加入していた場合は、資格喪失の届出や資格確認書などの返却、葬祭費、保険料の精算など、必要な手続きを順に進めます。
故人が世帯主だった場合は、世帯主変更届や、同じ世帯に残る国保加入者の書類・通知に変更がないかも確認が必要です。
死亡届の提出によって国保の資格喪失が処理される自治体もありますが、葬祭費の申請や保険料の精算などまですべて完了するわけではありません。
必要な手続きや書類は自治体によって異なるため、故人の住所地自治体の案内に沿って進めます。
また、市区町村国保ではなく、後期高齢者医療制度や会社の健康保険、共済組合、国民健康保険組合に加入していた場合は手続き先が異なります。
まずは故人が加入していた健康保険を確認することが、死亡後の健康保険手続きを進める第一歩です。
国保以外にも、年金や介護保険、公共料金などの手続きが必要になることがあります。死亡後・葬儀後の手続きの全体像は、こちらで確認できます。

