2022.7.8(加筆) 行政書士 阿部 勉
生命保険金は、相続人1人あたり、500万円が、相続税非課税となります。
意外と、見落としがちですが、かなり有効な相続税対策となりますので、まだ利用されていない方は、積極的に活用してください。
生命保険の契約者、被保険者、保険金受取人
- 契約者 ・・・ 保険会社と保険契約を締結された方
- 被保険者 ・・・ 保険事故の対象となる方
- 保険金受取人 ・・・ 被保険者に保険事故があったとき、保険金を受領される方
- 被相続人(亡くなった方)が被保険者である保険は、保険金受取人に死亡保険金が支給され、保険契約は終了します。
- 被相続人が契約者で、被保険者はご生存中のとき、契約者の地位が相続されますので、相続人が保険契約を相続し、保険契約は継続します。
- 契約者、被保険者がご生存中の方で、被相続人が保険金受取人のとき、契約者が保険金受取人の変更をして保険契約を継続します。(もしくは解約します)
- 保険の契約者、被保険者、保険金受取人は、同一の方でも、別々の方でも問題ありません。
たとえば、父・母・子の3人家族の場合
- 亡くなった父が契約者、かつ、被保険者で、保険金受取人が母のとき、母が保険金を受け取ります
- 亡くなった父が契約者、母が被保険者のとき、母もしくは子が、契約者の地位を相続し、保険契約は継続されます
- 亡くなった父が保険金受取人で、母が契約者、かつ、被保険者のとき、受取人を子に変更して、保険契約は継続されます
生命保険(終身死亡保険)と税金の関係
- 亡くなった父が契約者、かつ、被保険者で、保険金受取人が母のとき、受領した保険金は、相続税の対象になります
- ご生存の父が契約者、かつ、保険金受取人で、被保険者の母が亡くなったとき、受領した保険金は、所得税の対象になります
- ご生存の父が契約者、子が保険金受取人で、被保険者の母が亡くなったとき、受領した保険金は、贈与税の対象になります
(参考)国税庁ホームページ
生命保険で “相続税” を節税する
上記の例で、受け取った保険金が「相続税」の対象になるとき、その保険金は、相続人1人あたり500万円が非課税になります。
【父・母・子の3人家族の場合】
父が亡くなり、母が相続税の対象となる保険金を受け取ると、
相続人は母・子の2名なので、
2名×500万円=1000万円までの保険金が、非課税になります。
父が亡くなり、母が相続税の対象となる保険金を受け取ると、
相続人は母・子の2名なので、
2名×500万円=1000万円までの保険金が、非課税になります。
もし、相続人が3名いる場合、あらかじめ1500万円の死亡保険に加入しておけば、1500万円を非課税で、相続人に渡すことができます。
契約者と被保険者が被相続人となる契約にすること
父、母、子がいるご家庭で、父が生命保険に加入する場合、父を契約者および被保険者とし、受取人を母や子どもに設定します。
これが、たとえば母を被保険者、契約者を父とする生命保険を設定した場合、
母が他界したときに受け取る生命保険金は、所得税や贈与税の対象となってしまい、節税効果を得ることができませんので、注意してください。
現金を残すよりも、保険に加入した方が、節税になります
保険未加入のまま、1500万円の現金を残して相続が発生した場合、1500万円全額に相続税が課税される場合がありますが、
生前に1500万円の生命保険に加入し、1500万円を保険料として保険会社に支払い、相続発生後に相続人が保険金として受領すれば、全額非課税となります。
生命保険そのものからは、得られる利益は、ほぼ、ありませんが、相続税率が10%とすると、単純計算で最大150万円の節税効果が見込めます。