赤ちゃんが生まれると、病院の先生が出生証明書を書いてくれます。それをもって役所へ行くと、親の戸籍に赤ちゃんの名前が入ります。これが出生のときの戸籍です。
相続手続で必ず必要な重要な書類に、故人の出生から死亡までの戸籍謄本、というものがあります。被相続人(亡くなった人)の相続関係を明らかにするために収集するのですが、戸籍は戸籍法によってその保管期間が以前は80年と定められていました。
これは、80年を経過した古い戸籍は役所に保管義務がないため、処分してもよいということになります。
すべての役所が80年を経過したとたんに戸籍を処分していくわけではないですが、管理上の理由で処分されている役所もあります。
つまり、80才を超えておられる方は、自分の出生のときの戸籍がお役所にないということもありえるのです。
これは困ったことです。戸籍の空白期間ができてしまい、その間の親族関係がわからないということになるからです。その間に婚姻外の認知などをしていたら、証明する手立てがないことになりますし、逆にその間に認知した子がいないという証明もできません。
ちなみに相続の実務では、その役所に戸籍を処分したという証明書を出してもらい、ほかの相続人には、戸籍の空白期間に生じた相続人はいない、という書類を書いてもらうことになります。
また、平成22年には、保存期間が150年に改正されましたので、今後はこういった問題も緩和されるかとおもいます。
とはいえ、自分が生きているのに出生のときの戸籍を処分されたりすると、少し悲しい気がしますね。